【短編】ロストテクノロジー

@anko37564

【短編】ロストテクノロジー



時代は2800年

人間たちは、いまだしぶとく生存していた

生き延びた人類は、

政府によって全てが管理される潔癖とも言えるディストピアの成立と共に、

わずかばかりの未来を手に入れた

遥か昔には、たばこなるものや、酒、ハンバーガーなど、大層美味なる様々な食物があったらしいが、現在は政府によって隠された文献や、少しの噂でしかその存在を伺い知ることは出来ない

人間の全ての食事、牽いては性までが社会によって管理され、人間の自由意思などはもはやなかった。

何故、政府は、食事の喜びを奪ったのか

それは、美味なる古代の食物を独占するためである!

味気ないスープばかり食べている我々を尻目に、豪勢な食事をしているに違いない!

多くの人が内心そう思っていた

そんな世界に立ち上がったのが、

我々レジスタンス隊だ

わたしたちは、長年かけ、

政府から文献を独自に入手

少ない情報から古代の食物を再現し、人間の喜びを取り戻すために活動している。

そしてついに、苦節10年

古代の食物、ハンバーガーという食べ物を再現した

ああ、ついにわたしたちは口にするのだ

そして自由を…

「うぐっ…」

ハンバーガーを口にした隊員たちは、次々と 苦しみに悶え倒れてしまった

「バカな… 毒が…何故…古代の人間は…」

食品の管理によって、あらゆる添加物、体に悪いものを排除してきた未来の人間たちにとって、ハンバーガーの毒素など、まるで耐えられるはずもなかった。

政府によって食事が管理されていた理由は、健康のためだったのである

ついでに言えば、彼らが苦労して手に入れた古代の文献とやらには、どこもかしこも「体に害はない」だの、都合のいいことしか書かれていなかった

かくして、およそ500年ごしに人間は念願を叶えたのだった

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