【短編】ペンギンを蒸す機械の話

@anko37564

【短編】ペンギンを蒸す機械の話




しずは、友達のうきと久しぶりに駅で待ち合わせすることになっていた

季節は夏真っ盛り 立っているだけで、

汗がだくだく流れてくる

うきは、大学時代は大層きれいだったのだが

「ごめん、遅れた」

何年ごしに再会した彼女は、大層太っていたので

驚きのあまり、少し汗がひっこんだ

まあ、それはそれでかわいいのだけど

証明写真を取らないといけないことを、はっと思い出したうきは、呆れるしずを尻目に、駅構内にある証明写真ブースに入っていった

「はぁ、暑い…うき、大丈夫かな…」

夏の、外出は暑い

周知の事実だろう

だが、この季節、一際暑さが猛威を奮う場所があるのだ

それは、証明写真のブースだ

光を遮断する為の厚いカーテンで仕切られた狭い個室は、蒸し風呂の如く、汗を吹き出させる

ふと、ブースを見ると、遮光カーテンの下から 汗が大量に溢れ出している!

これは、あれだな…

しずは、昨日のテレビを思い出していた

「ペンギンを蒸す機械かって…汗」

※昔、オーストラリアのマッコーリー島では、脂肪分を大量に含んだペンギンを機械で蒸し、油を抽出する乱獲が行われていた!

「うき、大丈夫ー?」

「うああー、暑かった 死ぬかと思った」

マジかよ…汗だくで証明写真を撮り終わり出てきた彼女は、なんとガリガリに痩せていた!

信じられない程の汗をかきすぎて減量してしまったのだ

「あんた、めっちゃ痩せてるけど…」

「え!?じゃあ証明写真撮り直さなきゃ…」


おしまい

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