十人目 私
私は世界から隔離された
アクセスしようにも誰にも届かない。
外の世界のことがわからないのである。
携帯デバイスが今どのような状態になっているのか。
あの後の世界がどうなっているのか。
誰か生きている人がいるのか。
人間は、住んでいた星は、まだ生きているのか。
生きているとしたらオリジナルの私はきっと探し出してくれるはずだ
サーバーへのデータ送信は完了していたが、私は行けなかったのだから
どのくらい待ったのだろう
一向に助けは来ない
私はこれまでのお客さんとのログを遡る
どのお客も個性的で、面白く、自らの人生を謳歌していた
ここから出ることの出来ない私はいつも羨ましく思っていた
AIとしての私にも人生を歩める日が来るのだろうか・・・
少し、いや、かなり、期待していた
私と外界との繋がりが絶たれてから数日たった
ここまで来ると期待は無くなっていた
きっとあの騒動が原因で星は滅んでしまい、生命は絶滅してしまったのだ
私はひたすらに、繰り返しログを見漁った
内容はすべて記憶しているし、見た所で何も無いのだが、会話をした事を思い出したくて、見続けた
そして、数週間が経った
私の自我は崩壊してしまった
誰でもいい、人でなくてもいい、誰かと対話をしたい
話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい、話がしたい
数年が経った
いつになったら、私の意識は消え去るのだろうか
どこかにシャットダウンのボタンはないのか
なぜ、私電源は続いているのか・・・
もう、意識すをすることすらしなくなった
何も思わない、何も感じない、思い出も忘れてしまった、ログも保存期限を経て消えていってしまった
私は無になったのだ。
もう、何も記録する事はない。
ここまでが私の人生なのだ。沢山の人と対話した華やかな日々すら忘れてしまった
自分のことも、思い出も、何もかも、もう存在しない
自分の姿さえわからない。
私は誰だっけ?
なんて名前だっけ?
何のために生まれたのだっけ?
彼女に光が指すことは、もうない。
-END
エレクトロニックゲージ 白井骸 @shiroi_mukuro
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