レッドハート・ガール
@NOTAROU
第1話
『な、なんだお前は!』
『き、きみはいったい……』
『お答えしよう。我が名はレッドハートガール!』
黒ずくめの集団がどよめく。荒野に風が吹きすさび、美少女の赤髪をなびかせる。リボンみたいにひらひら……って感じだ。
『ひとつ、人の悪口ばあっか言うやつ!ふたつ、不幸自慢のうじうじ野郎!みっつ、見にくい板書の字!みんなみんな退治してくれよう!』
『お、おい。お前ら避けろ!』
『このレッドハートガールのしゅくせいビームから逃げられるもんですか!』
美少女が突き出した両手がまばゆい光に包まれる。『くらえーー』
爆音、紅の閃光。ばったばったとなぎ倒される黒ずくめたち。
『ま、まいりました。もうしないよぉ』
『それでいいのだ』にっこり満点笑顔の赤髪少女。
チャンネルぷちっ。野球中継へゴー。
舌打ちの音。カシュッという音。喉を鳴らしてビールを飲むおやじ。
「こらあ、お前。俺のテレビで変なもん見やがって」じろりと動く濁った眼。僕は背を向けて部屋に戻ろうとする。視界の端でおやじがゆらりと立ち上がった。
あ、やばっ。
予感てきちゅう。思いっきりおしりを蹴られ、小さいぼくの体は廊下へ飛ぶ。顔をぶつける。息が詰まって、目の前が一瞬暗くなる。
「それが親に向ける態度か!このくそがきが!」
おやじはぼくに向かってリモコンを投げつける。間いっぱつ外れ。
ドアノブの金属にあたって大きな音が出る。母さんがコップと紙パックを持ってキッチンから出てくる。
「あなた、これ飲んでください」
「こんな安酒しかねえのかこの野郎!」
平手打ちされる母さん。倒れる。現実はこんなもんだ。
隙を見て居間を出て、暗い廊下のいちばん奥へ退散する。そこが僕の寝るところだった。おしりが痛くて立ち上がれない。もぞもぞ這うみたいにして布団にたどり着くと薄暗い枕元を手で探る。ティッシュ箱をからぱっぱっと何枚か取って鼻に当てる。
「痛ったぁ……」
たらりと鼻の奥から血がつたう。よかった。今日はシーツを汚さずに済んだ。しばらく耳を澄ませると少し開いた居間の隙間からおやじの怒鳴り声が聞こえなくなった。ほっとして目を閉じる。
「おやじ、今日は早番だったんだ」
ぼくは体中の痛みに耐えようとくちびるを噛む。そうしないと、このあとbe動詞の穴埋めプリントと戦うことなど絶対にムリだったから。
「あと5分あればエンディングと次回予告まで見れたのに」
毎週火曜日夜7時。数少ないぼくのたのしみ。
ああ、レッドハートガールがぼくんちに来てくれたら。
「そろそろああいうのは卒業する歳じゃあない?」
だしぬけに耳元で声がして、ぼくは目を見開いた。
「もう中学生なんだしさ。ガン○ム見ようよ。こっちでもちょうどいま再ブレイクしてるんだよね」
すぐ近くに気配。でもここは廊下の突き当たり。周りは壁しかないのに。
「あれ、聞こえてない?ちゃんと21世紀日本列島地域語で喋ってると思うんだけど、設定ミスってたかなあ」
ぼくは天井を見上げた。そして喉から変な声が出た。「だれ」
「よ。こんばんわ」
天井から白い腕が。そう、ぶらーんって。ひらひら手なんか振っちゃったりしてるのだ。
「あ、あ、あ」
「しぃーって。しーっ」白い手が人差し指をぴんと伸ばして左右に振る。
「きみのお父さんにバレたらとっても面倒だ。それとあたしはそんなに怖いものじゃない」
女の子のささやき声が天井から降ってくる。
「学校の帰りに下界望遠鏡を覗いてたらきみをたまたま見つけたんだ。それでさ、端的に言うとね。ちょっとした人助けをしようと思ってここに来た」
「な、なに言ってるの」
「きみ、今怪我したでしょ。それを治してあげようと思って降りてきた。んで、もう治した。きみのおしりのアザと鼻腔のキズはきれいに治ってるはず」
「ほんとだ」僕は短パンのゴム紐を引っ張ってつるりとした肌を見た。
「どうやったの?」
「簡単な治癒魔法さ。そっちで言うバンソーコーみたいなもん」
ぼくはおしりを出したまま鼻の頭を触った。こっちももう痛くない。
「あの、あなたはお化けなんですか。それともユーレイ?」
「いちおう言っとくと」こほん、と咳払いが天井からひとつ。
「顔も見せずにこんなことを言うのも変だけど、あたしもきみといっしょで生きてる。生きた女子なんだよ。きみのクラスにもいるでしょ?女の子。あ、でもその子たちよりはお姉さんだけどね」
ほんとに女の子なんだ!おしりが丸見えのぼくは慌ててズボンをずり上げた。白い手はオーケーの形を作っている。
「まあ、あたしのことはただの通りすがりのお化けとでも思ってくれればいいよ。じゃ、人助けは終了したのでさよなら。もしかしたらまた来るかもね」
白い手は天井に「沈み」始めた。人差し指一本だけになったとき、また女の子が慌てて喋った。「あたし、シーっていう名前。シー・ユング。この言語だと言いにくい!」
「ぼく、コウ。神谷 幸」
「ばいばいコウくん」
これが、白い手のシーさんとの最初の出会い。それからというもの、シーさんはぼくがおやじに殴られたり、蹴られたりするたびにこの廊下の端っこの天井から、はたまた壁からにょろりと現れるようになった。
「相変わらずだね。コウくん」
シーさんはいつもちょっと面白がっているような声で言う。
「シーさん」
壁のあるはずの場所から手が伸びていて、僕の頭を優しく撫でた。それが終わると目元に指を伸ばし、溜まった涙を掬ってぴん、とどこかに弾き飛ばした。
「おなかが痛いんだ。昨日からずっとあの」
ぼくはしゃくりを喉に押し込んで歯を食いしばって言った。
「おしっこが、赤いまんまで」
「わかった。横になったまま動かないで」
すると不思議なことが起こる。痛みという痛みが体の上に上がっていき、最後には僕の頭の上の白い手に吸い込まれて無くなってしまうのだ。「ふう」
「すごいや。もう全然痛くない」
「へへ、でもこれはちょっと、あたしもしんどいかも。コウくんよく今まで頑張ったね」
優しい声でシーさんは褒めてくれる。嬉しいけど、でも不思議で仕方がなかった。痛みが消えてしまうのと同じくらいおかしなことだった。そして次の日も、その次の日もシーさん(の腕と手)はやって来た。きまっていつも寝る前だった。
「ねえ、シーさん」
「んう?」
「なんでぼくのところに来てくれるの」
「きみが心配だから、っていう理由じゃだめかなあ」
「それだけじゃないんでしょう?」
直感。そんな気がした。
「う、意外と鋭いじゃん。きみ」
シーさんは壁を白い手でぽりぽり掻いてみせた。
「まあ、あたしが自分勝手にしたいことをしてるだけよ。気にしないで」
「シーさん。ありがとう」ぼくは布団に正座して頭を下げた。このころはまだ、そのくらいしかお礼の気持ちを表す方法を知らなかったから。
「や、やめてよ。そういうことはしないで」シーさんは珍しく歯切れが悪かった。
ぼくは頭を下げたまま、お願いもしてみた。「シーさん、お願いがあるんだけど」
「なに。コウくん」
「シーさんの顔を見たいよ。腕と手だけじゃなくて」
するとシーさんはしばらく黙ってから、ぽつりと言った。
「あたしの素顔は見せられないんだよね。見せちゃうとあたしたちの
「違反するとどうなるの」
「そりゃ、罰せられるんだよ。もしも時間警察にバレたらね、こわーい罰が下るのさ」
シーさんはいつもの高くて澄んだ声をちょっと低くしてみせた。
「永遠の苦行。この世の恐ろしいものを心底味わうことになる、島流し。そして魂の喪失。それくらい重い刑罰も場合によってはね」
「そんなあ」
「嫌なことに、これ嘘じゃないんだ。ま、素顔見せたくらいじゃそこまでの罰はないけど、あんまり深く歴史に介入してはいけないのよ」
するとシーさんは意地悪そうな声で言った。きっと口元はチェシャ猫みたいに笑っているに違いないってかんじ。「なんでコウくんはあたしの顔が見たいのかなあ」
「だって、ぼく」
ぼくの口が勝手に喋り始める。
「ぼくは……」あ、そうか。
「うん」
「ぼくはシーさんのことが好き、だから」
そうか!そうだよ。シーさんのことがなんか好きなんだ!
思春期入りたてのぼく。顔の見えない救い主にぼくはもう、惚れてしまっていた。
でもじゃあ、シーさんはどうだろう?って不安になったんだ。
「シーさんは、ぼくのこと……好き?」
白い指がぐるぐると暗闇をなぞっている。ぼくはそれを見ながら真剣な顔で返事を待った。夜中に帰ってきたおやじが酔っ払って居間の柱を蹴っても、ぼくはずっと待ち続けた。それでもどこかで寝入ってしまったらしい。真夜中にふいに目が覚めて、そこでやっと、誰かの存在に気がついた。
「しーっ。声出しちゃダメだ」
心地よいささやき声が降ってくる。頬っぺたに手の温もりを感じる。頭をねじって枕元を見て僕は、「あっ」と声をあげてしまった。
頰を赤らめ、口に立て指を当てている長い赤髪の女の子。朱色と白のドレスのような薄い戦衣装。真っ赤なハートのペンダントが光る少しはだけた胸のあたりが、もうすぐ秋になろうという今の季節にはちょっと寒そう。両手の平には必殺技、しゅくせいビームの縮退式ジェネレーターがゴツく赤黒光りしている。
「レッドハートガールだ!」
「し、しぃーっ!ばか、声デカイってば」
そのレッドハートガール・シーはしゃがんでぼくの口を押さえて黙らせた。痛い。すこし落ち着いて眺めてみると、ぼくはどきどきしてしまって今度は何も言えなくなった。
「ねえ、なんか言ってよ。この衣装手に入れるの結構苦労したんだぞ」顔を真っ赤にしてシーさんが睨む。思ったよりお姉さんじゃなくて、ぼくより一個二個年上くらいに見えた。
でも、白い肌に衣装が恐ろしいほどよく似合っている。
「すごい、すごいや」ぼくは拍手をなんとか堪えた。
「もうぼく、思い残すことはないかも」
ぽーっとしてシーさんに見とれていると、シーさんは照れた顔でにっとはにかんだ。
「満足か?下界の中学生くん」
「うん。あ、ありがとうシーさん」
嬉しそうなシーさんを見れて、僕はもっと嬉しくなる。
「えと、髪は染めたの?」
「もともとあたしは赤い髪なんだ」
「い、衣装はどこで」
「こっちの世界のそういうお店を色々ね、たくさん探したんだよ。ガッサー・タイラー式交差時空反復航法を使って全時間軸、しらみつぶしにあたって採取をしてみたの」
「がっさーたいら?こうさじくう?」
「なんでもない、忘れて。えっと、お化け界のコネを使って仕入れたということにしといて」
ぼくはこのとき、シーさんの言っていることは相変わらずさっぱりわからなかったけれど、レッドハートガールになりきったシーさんの姿を忘れるという不届きはそのあと、10年経っても、結局のところありはしなかったのである。
「ああ、恥ずかし。さっさと
ちょうどいいタイミングだと思って、ぼくは知りたかったことをシーさんにぶつけることにした。シーさんのことがもっともっと知りたかったのだ。
だってぼくはシーさんのことを何も知らない……。
「さっきぼくのこと下界の中学生って。その、シーさんのいる天上界っていうのとここは違う世界なの?」
シーさんはぎくりとした様子で露骨に目を逸らした。
「お化けの世界のこと。あたしはお化け界の住人なのさ」
「うそ。シーさんはお化けじゃなくて生きた女の子なんでしょう?そう言ってたよ」
シーさんは呻く。「コウは記憶力がいいんだなあ」
「シーさんの隠しごとが下手くそなだけだよ」
「こ、このぉ……」
「ね、教えてよ。ぼく、シーさんのことがもっと知りたいんだよ」
シーさんは今更のようにぼくの口元に当てていた手をぱっと離して、ぼくの薄い敷き布団の上に正座した。「この世界の人間は、真面目な話をするときにこうするんだろ?」
ぼくがうなずくとシーさんは真面目な顔をして言った。
「あたしは科学魔法使い。上位次元を支配する時間旅行者の国からやってきた未来人類とも言う。あたしたちの存在はこっちの世界の人間には絶対に知覚できない。こうやって、下位次元まで降りてこない限り」
「ちょ、ちょっと待って」
「わからないのは仕方ない。海を知らないマタギが水圧を理解できないようにね」
「タンマ!シーさん、もうちょっと教えてよ」
そのとき居間の隣の寝室から怒鳴り声がした。安眠を妨害されたおやじの怒りだ。寝ぼけたおやじが本当に目を覚まさないように祈るうちに、気づけばシーさんはいなくなっていた。
こうして過ごす間にも、日に日にアル中おやじの肝臓は悪化していき、逆に荒っぽさは増していった。はまっていたキックボクシングにも、仕事にだって行かなくなって当たり散らした。
そんなとき、シーさんの白い手がぼくの怪我を完璧に治してくれる、という安心感がどれほどありがたかったか。
今思えば、思春期の中学生にはあり得ない環境だった。手加減なしに暴れる大人の男と狭いアパートの同じ空間を共用する尋常じゃないストレス。シーさんはたまたまぼくを見つけて憐れんだだけかもしれなかった。きっとそうだろう。でも彼女はぼくを確かに救っていたのだ。アパートの屋上に向かうぼくの足を踏みとどまらせてくれていた。
「この世界に逃げる場所なんかないんだ」
「そんなことない」
ある夜、ふらふらになったぼくの体を、シーさんが手を当てて修復していた。
「何度も言ってるけど、コウ、きみは警察機構の世話になるべきだ。この世界にも警察は存在しているんでしょう?」
「家に警察が入ってきたら、おやじは母さんを道連れにして死んじゃうよ」
ぼくは吹き出して言った。「あいつ、腹巻きに包丁を括り付けてるんだ。信じられないよね」
「きみだけでもこの家を出て保護を受けるべきだよ」
「母さんは逃げる気力も、勇気もない。もうあいつの言いなりなんだ。ぼくが出てったら母さんは蹴り殺されるよ」
そうやって、ぼくは人情家の未来人科学魔法使いに言ってはいけないことを、ここでこうやって、言ってしまうことになったのだ。
「シーさん。ぼく、もうダメかもしんない」
「え……」
「もうダメだよ。もうやなんだ。だからあいつを殺す」
ぼくは敷き布団をめくって下から100均ショップで買った果物ナイフを取り出した。切れかけた玄関灯の仄かな明かりを刃が映して、それはギラリと光った。
ぼくは両手で柄を握りしめる。ゆっくりと薄暗い寝室へ歩んでいく。
「だ、だめ」
視界の端っこに赤い髪のシーさんがいた。コスプレをしていないところは初めて見たな、と変に冷静になって観察している自分がいた。
たとえば、未来人でも寝巻き姿はそこらへんの普通の女の子なんだな、とか。
「まあ、寝巻き姿の女の子を見たことなんてなかったけど」
変になってしまったぼくは、なぜだが笑えてきた。シーさんは真っ白な頰をさらに白くして、ぼくの長袖のトレーナーの裾をさっきから引っ張っている。
「コウ、ダメだよ。止まれよ」
両親の寝室の襖をゆっくり開けて、そして震えた。本当に足ががたがた震えだしたんだ。
ベッドの上には枕元まで布団がかかっている。ふくらみはひとつしかない。
つまり、ひとつ足りない。
ぼくはベッドに近寄ってみて、布団をめくった。
「コウ、逃げるよ!」
ベッドに寝ているのは、そこに横たわっているのは、
「母さん」
ぷん、と臭った。
できたばかりの、それでいてもう命が尽きていることを疑いようのない、汚物にまみれたなにか。首に巻かれたチェーン。口に詰められたのは靴下だろうか。苦しみ抜いて歪んだおぞましい真っ白な死に顔。
「……おやじは、どこに行った」
「なんだお前ら」
振り返ると玄関脇の真っ暗な洗面所におやじが立っていた。何か持っている。
それは見たこともないような細い刺身包丁だった。ゆらりと刃を持ち上げ、ぼくらの方へ笑顔で歩いてくる。
「来るな!」ぼくは果物ナイフを胸の高さまで持ち上げて、威嚇する。
おやじは止まったけれどニタニタ笑いを崩さない。
でも……。
手が震えて、足だって馬鹿みたいに震えが止まらなくて。そして隣に立つ女の子はそれを見ていた。
そうやってぼくは、好きになった女の子をこの世でいちばん恐ろしくおぞましい人間の前に立たせてしまった。
「コウ!」シーさんは叫んだ。
「あたしが、やる」
「シーさん」喉がカラカラで声にならなかった。
「コウくんごめん。あたしははじめから分かってたのに、勇気が無かったんだ」
少女は指先をおやじの頭に向け、
「お前、幸の女か。はあ、かわいそうになあ!」
少女は息をのみ、
「どこまで刺さるかなぁ!」
短く何かをつぶやいて、
指先から赤い稲妻を迸らせた。
その顛末は、ぼくにもよくわかっていない。
おやじの太鼓腹がビームの炎に包まれ焼け焦げることもなければ、肉片と化すこともなかった。ただ、おやじの心臓が停止に至ったことは確かである。
白煙が消えたあと、その狭いアパートから少女は跡形もなく消え去っていた。
そして今に至るまで会えていない。10年後の夏の今も。
「平良先輩」
「なあに神谷くん」
ぼくは飲みの席の喧騒のなか、隣に座るゼミの四年生になんの気なしに聞いてみた。「平良先輩には、外国人の知り合いがいたりします?」
「え、なにそれ。いない……けど」
「そうですか」ぼくは寄り掛かってくるリクルート・スーツ姿のその先輩を押し除けながら、ため息をついた。2階の座敷の網戸の外は天気予報のとおり、もう降り出していて、傘を忘れたことにいまさら気がつく。
「先輩飲み過ぎですよ。そろそろお開きに……」
「ねえ、どういう意味なのよ。あ、もしかして私のこと心配してくれてたりして」
「先輩のアメリカ行きについて、この俺なんかが心配することなんてありません。あなたは秀才、俺は凡百なんだから」
「ちぇっ、心配しろよ。馬鹿コウ」
先輩は長い髪を弄りながら、ふんと向こうを向いてしまう。ぼくはまだ苦い、苦いビールを飲み干して続けた。「でも」
「でもなに」
「また会えますよ先輩。だって俺も同じラボを目指してますから」
「そっか。そうだよね」先輩はぽつりと言う。
「タイムマシン、作りたいんでしょ? 私笑わないよ」
先輩は振り返って、真剣な目をぼくに向けた。
「はい」
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