エピローグ 夕暮れ

「待って。一緒に帰ろうぜ」


程なく彰が咲南に追いつき、2人は並んで歩き始めた。


「あの子は放っておいていいわけ?」


「池上さん?あのお婆さんの霊が怖いから一緒に帰ってくれ、っていう依頼だったから、もう問題ない」


「ふーん」


本当に鈍感だな、と思うと同時に、図らずも咲南自身が女子生徒の思惑を潰してしまったことを知り、ふっと笑った。良いことをしても、結局面倒を招くことになる。


彰はそんな咲南の表情を見て、


「お、なんだ。いいことあったのか?」


と屈託なく笑った。


「馬鹿」


早く帰って煙草が吸いたい。夕暮れに淡く照らされた道の上で、咲南は足を早めた。

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TOKYOサイキック 武器YO @bukky4649

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