LS550 爆誕
◆
◆ウィッタード王国 王城 大講堂◆
◆勇者レグザス視点◆
朝早く目が覚めると、窓の外でやたらクチバシの長いスズメがチュンチュンと鳴いていた。
今日は焼き鳥を喰う、そんな目覚めだ―――。
ダンッ!
と突然、俺の部屋のドアが開いた。
ビクッ!?
「無いんです!!!!!!!!!」
メイドが声高らかに叫ぶ。
タッタッタッタ…その後ろから走る靴音が聞こえる。
「無いんじゃあ!!!!!!!」
ん?誰だこのロリ…あ!魔道士長レインことロリババアか!!ツインテールよく似合ってるなあ。ちゅっちゅっ…おえ、婆さんだった姿思い出してしもた…!
「おはよう。んで、何がないって?」
「お主の
「・・・・・・・は?マジで?」
そこからの俺は早かった。部屋からメイドとレインのロリババアを追い出すと、この世のものとは思えぬ速さで着替えて歯磨きを済ませ、再び扉を開け放った。
バァン!!
「ひぃ!?」
レインが驚く。
「走るぞ!!!!!いや…」
俺は自室に戻ると、窓を開けて飛び出した。そしてそのまま三階から一階外の修練場へと軽やかに着地すると、ES350のあった場所へとたどり着く。
「ン無いィッッッッ!!!!!!!!!」
俺はのけぞり、そのまま足と頭だけでその場にブリッジした。
考えろ…考えろよ俺…えぇ…なんでねええんだよ…
あああ…脳が、脳が震えるぅぅぅぅぅううううううう!!
「くそおおおおおおおおこんな時に『名無し様』が居てくれたらあああああ!!!」
霊能者だからって「占えば良いんじゃね?」とは、俺の場合はならない。
俺の霊能者としての情報取得手段は、視えない霊的な存在にお話をお伺いする「天啓」と、名前を知る全てのものの構造を解析する能力「霊視」の2つに分かれる。
「天啓」でお話をお伺いしていた『名無し様』は異世界に来てから一切コンタクトが取れない。
そもそも神社仏閣かなんかの日本固有の霊的存在を自称していたから、まあ異世界にくる事は無いだろうから致し方ない…っていうか、うわあああああああ困ったああああああああ!!
「ぜぇ…はぁ…わしを置いてけぼりにしよって…若返ってから初めて走ったぞい…!それがな、意外に走れるんじゃ!やっぱり若いと体りょ――」
「――ロリババアああああああだずげでぐれええええ!!!」
「ロリバ…!?わしゃレインという…今や立派な名前のレディーじゃ!ふんっ!」
「元ババアのロリよおおおお!!ぐああああああああ…俺の700万円があああああ…全財産がああああ…」
「まあ待て!そんなお主に朗報じゃぞ。一応探索魔法というものもあるでな。」
俺は有り余るステータスにより、ブリッジの体制からそのまま時を戻すように直立不動になる。
「何!?」
「うわキモッ!?…まあええ、ちょっと待っとれ。―ligr shata korm qaste oorl...サーチ!ES350!」
レインを中心とした地面に、円状に魔法陣が生まれる。そして青白い光を放ち、周囲全体へと波紋が広がるように高速でその円のサイズを広げていく…!
「いいか、ちょっと待っとれよ…!」
「待でないんだよサーチィイイイ!!!あああああああ゛あ゛あ゛…」
「あ、お主また勝手に!?」
「あっだよおおおおおおお北だよおおおおおお400kmだよおおおおお…ん?」
北に400km…ハッ!
「「魔王城!!!」」ロリバ…レインとハモった。
「よおおおおおおおおし、よく分からんがとにかく速やかに今すぐに最短最速でいくぞおおおおおお!!!最短最速最善最高最短最速最善最高…」俺は北に向けてダッシュしかけ―――
「おい待て待てお主!!そもそも400kmをどうやって行く気じゃ?ダッシュか?」
―――キキーッと止まった。それもそうか!!
「うううーん、早く行きたいけどESが無いんじゃなあ…あ、そうだ!ギコちゃん!!」
『きゅーん!…きゅううううううう!!!!!』
ボワンっと出てきたギコちゃんはESが無いのを見て超お怒りだ!俺も同じ気持ちだぞ!いやしかしかわいい…!
「ギコちゃんッ!ES350が何者かに盗まれた!北400kmらしい!今すぐに取り返しにいくから、もう一台ロボットを作ってくれ!!今度はレグザス…LS550だッッッ!!」
説明しよう!レグザスLS550とは、POYOTA社のセレブ向けブランドにおける究極のラグジュアリー・セダンである!オプション込みでその価格は1400万円に達する…!その価格、俺の全財産であるES350の…2倍ッッッ!!
いつかは乗りたい車ランキング一位!俺の中ではな!!
『きゅううううううん!!きゅうんきゅうううーーーん!きゅっっきゅうう…』
(それなら、ケーが日本でなんでか霊視した事が有るから、構造データが有るよ。この世界、いい金属が取れるから、それで作っちゃうね!あ、あと、ガソリンか魔石で走る車なんだけど、良質な魔石はここらへんには無いから、とりあえず頑張ってガソリン精製するね。ちょっと時間掛かるけど待っててね!)というニュアンスが伝わってきたぞ…!
俺…!ギコちゃん通訳レベルX到達…!多分隠しステータス…!
そこから四方八方の山々や空からありとあらゆる素材の粒子が目の前に舞い集まり、3Dプリンターの成形を見るかのごとく、レグザスLS550の姿を成していく。
「こ、これは…!?なんという事じゃ…!どんどん車とやらが出来上がってくるぞ…!」「ふふふ…うちの子は優秀ですからな…!まあ見ていろ!」
そして16分後
おお…!おおお……!これが夢にまで見たレグザスLS550(異世界金属製)…!見えないところにまで匠の技が光っているぜェ…!っていうか完全再現してるギコちゃん凄えぇ!
LSに乗る時はきっと7~8年後、それこそ完全自動運転の時代になっていると思っていたが、まさか異世界で乗ることになろうとは…!
ちなみにカラーは
「ヒ、ヒヒイロカネ製なのかこいつは!?なんちゅう高級な…!!
「うふふ…最高金属…うふふふ…」俺は目をハートマークにして新たなる相棒に触れる。
しかし今はそれどころじゃなァアアアアイッ!!!
俺は足を肩幅より大きく開き、腕を組み叫んだッッッ!!!
「変ッッッッッッッッ形ッッッッッッッッッ!!!!ゴーッ!LS550ッッッッッ!!」
『きゅっきゅうんきゅうううーーーん!』(おりゃーいけいけー変形だー!)
LS550の足元に突然、赤の魔法陣が発動する。
「あ!あれはバリアーの魔法陣!?」
レインが驚く。
そしてその周囲の空中に4つの赤色灯が前後左右に現れると、合体が開始された。
この合体前のモーションは…!工場現場にありがちな事故防止の「ご安全に」的な意図なのか…!?
ならば言おう。かの日本中の現場に居るとされる伝説の猫のッ!例のポーズをもってしてッッ!!
「ヨシッッッッッ!!!!!!」
決まった―――!
ガショアアアアアアアンッッッ!
ウィイイイイイイイイン…
変形完了と共に、コックピットが開く。外から見ると心なしか前回よりもコックピットが部分が広いようだが…?
「はっ!?今度のLSは
『きゅうんきゅうーーーん!!』
「熱いッ!熱いぜそれは!!」
「…いよおおおおおおしレイン、行くぜええええ!!」
「は?なんじゃ?…きゃっ!?」
きゃっ、じゃない。
「トウッ!」
俺はレインをお姫様抱っこして変形したロボット、LS550に乗り込む。
そしてもちろん肩にはギコちゃんだ。
座席はLSそのままのラグジュアリーさ、ESよりも幅広の座面で
デザインは匠の技を意識したレグザス最高モデルLS550らしさを変形後も保っている。 コックピットには
究極のデザイン性とかわいさの融合…た、たまらん!良い!良すぎるぞおおおおお!!!!!
「なんじゃなんじゃこれはどうしたらいいんじゃアワワワワ…」
「良い!任せろ!操作は感覚だ!じゃあ行くぞ!!」
「はぁっ!?」
コックピットが収納されると、俺はENGINE STARTのボタンを押す。
ブロオオオオオオオオオン……!!
「よしギコちゃん!今回の武装は?」
『きゅきゅううん!きゅん!』
きゅっ!とギコちゃんがカーナビをタップすると、8つのボタン表示が出てきた。
・
・爆縮射出式オリハルコンライフル
・全方位ワープ複射式
・
・LSウイング(すごい速さで飛べるきゅん)
・カーナビ(異世界パッチ適応済みだきゅん)
こ、これは…!?明らかにアップグレードしている上に、なんかメカニカルでよくわからない技術が使用されている!?
異世界・ミーツ・霊的AI・・・!これはヤバい代物が出来上がったのかも分からんね…!
『きゅーんきゅ!』(説明しよう!)
「お、お願いします!」
『きゅきゅんきゅきゅうううううっ!きゅう!([
「よく分からんが凄い剣なのが[
『きゅうううううう!ぎゅうううううう!ぎゅん!きゅ~!([爆縮射出式オリハルコンライフル]は、ライフル内で超々高圧力でヒヒイロカネを全周囲から圧縮して、爆縮現象を起こした際に出る超爆発力を使って、オリハルコンを極超音速で射出する銃だよ!)』
「よく分からんが凄い銃なのが[爆縮射出式オリハルコンライフル]っと…」
『きゅんきゅんきゅ!きゅきゅきゅきゅ…きゅうう!([全方位ワープ複射式
「うーん?トドメの一撃ってことか…まあ撃ってみりゃ分かるだろ!」
『きゅーん…!(あとの[LSフィールド]と[LSウイング]は、ESとは出力のパワーアップをしただけでほぼ同じかな)』
「おお、理解した。」
『きゅんきゅんきゅッ!(それになんと!今回からガソリンと
「おお!そして地球…いやこの星に優しい!さすがはギコちゃんだ!」
『きゅ!』
ふむふむ… 結論:なんか強くなってるっぽい!か…。
よく分からんが、戦闘になったとして準備はバッチリだな。むしろなって欲しいぐらいだ。
「話は終わったのか?なんでわしが巻き込まれにゃならんのじゃ…」
無視。
いやぁ、熱いバトルになりそうだぜェ…!
んじゃポチッと。[LSウイング]
サアアアアアアアアッ・・・ガショアアアアアン!!
四方八方から金属質の粒子が集まり、背中のウイングを形作る。
キイイィィィィィィィィィィィ……
「ちょと無視するでない!」
「行くぜババロリ!!」
背後のレインに語り掛ける。
ロリババアはあれだろ?ロリな見た目で何百歳ってやつだろ?ババアがロリになったら、それはもうロリババアでは…いや一緒か?
哲学か?哲学の時間が始まってしまったのか!?ならばもうそれはロリババアで良くないか?
いやでもロリババアは魅力的だがババアがロリになったとしてそれはもう魅力の欠片も無いんじゃなかろうか?
ならばそれがロリババアではなくババアロリと言ったほうが早いのではないだろうか?
鶏が先か卵が先かの問題に於いて、卵が先のほうが何か良いだろ?
つまりはそういう事…!そうか、そうだったのか!!
いやちょっと待て、何一つ理解していない事を理解したぞ今…。
俺の異世界は今のところは元ババアのヒロインしか居ない…その事実が…悲しいッ!
(あー、帰ったら彼女さがそ)
「だーからーレインじゃて言うとる――に゛ッ!!」
機体は急上昇し、俺達は凄まじいGを受ける。しかしどことなく振動はES350よりも少ない気がした。エンジン音も
「これがセレブ中のセレブ…社長の中の社長だけが乗ることを許された究極の機体…!LS550…!」
日本に居た頃の事を思い出す。名古屋随一のラグジュアリーホテルの表に立ち並んだLS…ペンツ…LS…LS…催し物は株主総会…!!俺はESの車中から指を加えて眺めていたものさ…ああ…俺の妬ましくも憧れたあの車LS……そのLSが、今我が手に…ッ!
願わくば日本の高速道路の、舗装したての真っ黒なアスファルトの上を走ってみたかったぜ…!!
「あばばばばばば…」
「高度一万メートル!!よっしゃあ!!行くぜ
『きゅうううううううううん!!!』
『あばばばっばあばばばばばギャッ――――――』
ドッ―――――――!!
俺は超高速で北へと加速した。ん?北ってこっちで合ってんのか?
【目的地がセットされました。ルート案内を開始します。】
おお!カーナビ機能か!でかしたギコちゃん!!
『きゅぅぅぅぅぅん!!』
俺は南に向かっていた事を知り、首が折れんばかりの急速旋回をする。
「いぎゃああああああああああ首がああああヒ、ヒール!ヒール!!」
「うおおおおおおおおおおお!!!あ、ヒールね。はい。」
レインの首が光り、ヒールが完了した。一応影で練習してコントロールできるようになってんだぞ。
「ぜえ…はあ…ああ痛くない…それより、おおおおおろしちくり…わしゃこんなに高い所が初めてでなでな…アワワワ…」
「何を婆さんみたいな事を言ってやがるッ!行くぜッ!」
俺はアクセルを全開に踏み込んだ。到着予想時刻は…20分後らしい。
よし、んじゃ右手のスイッチを…ポチポチっと…
俺はLS550を半自動運転モードに切り替えた。自動運転と言っても、ハンドルをたまにクイッと操作しないとアラームが鳴るけどな。
ギコちゃんに目覚ましをお願いすると、LS550に装備されている謎機能である「マッサージチェアモード」により、肩のこりをほぐした。
「ああ…良いわぁレグザスLS550…最&高ですわぁ…!」
「アワワワワ…」
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まだまだ続きますよー!
「面白かった!」「続きはどうなの!?」「LS550(改造済)欲しいィ!」
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すると作者に生命力が漲り、次の小説を投稿していく事間違いありませェェェんッッッ!!
よろしくお願いします!(超土下座)
あ、毎日19時に投稿するのが目標デース!
★異世界召喚から【3分】で魔王を倒した高級車乗りのチート【霊能者】は、『究極』以外を望まないッ!! 狐沢コン蔵 @kitsunezawa_konzou
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