第6話 波乱の予感?いえ、波乱です。

 香山さんと友達になった次の日。俺は朝一番に登校して、まだ終わっていない授業の予習を行っていた。


 この高校、川星高校に入った時合格点ギリギリで受かっていたという危機的状態だったので、留年などしたくない俺は、一応勉強する。


 そして勉強してから20分くらい経つと、いつの間にかクラスメイトが登校し始め、それぞれでグループをつくり始めた。


「よう、またボッチですか悪魔さん?」


「………うるせぇ。このままじゃ友達100人計画のうちの3%しか達成出来てねぇんだぞ?とにかく、もう高校ではボッチから脱却したいんだよ……」


 と、溜息をつきながら、俺のもとに来たこの学校唯一の友人の琉星に、俺の思いを吐露した。


 すると、痛いところを琉星の彼女である姫川さんがついてきた。


「……3%?久遠くん私達以外に友達一人増えたの?」


「あっ!確かにそうだな!じゃあ新しく出来た友達は誰なんだ?」


 姫川さんの言葉に納得し、俺にそう訪ねた琉星。


(どうする?本当の事を言うか?でも琉星は少し口が軽いからな……)


 俺は頭の中で考えた。しかし、いまさら言い間違えでした!許してくださいテヘペロ♪とかやってしまえば、なにかやましいことがあると思われてしまうし、そもそも通用しないだろう。


 そして俺はラブコメの主人公では全く無い!


 よって俺が出した結論は、


「ああ。一人放課後の時間に仲良くなったからな。あと97人だよ。」


 完全に俺は表情を表に出さず、満面の笑みを浮かべる、ということだった。


しかし、内心では、 


(やばいやばい!今は俺と香山さんの関係性について知るものはこの世界中において誰もいないはずだけど、バレたら確実に男子どもに殺られる!!)


 焦っていた。かつてないほどに焦っていた。


 余談だが、俺は土壇場での運は最高潮だったのにも関わらず、普段の運は最悪だったのだ。


 え?何が言いたいのだって?つまりこういうことさ!


          〜史上最速の伏線回収〜


 その時、教室に香山さんが入ってきた。


(なんでそんなに今日来るの早いわけ!?)


 内心で絶叫する俺。仕方ないだろ!俺の運がこんなにも悪いとは信じられなかったんだし!!というかこの世界ってコメディーか何かですか!?ありえないほど俺を追い詰めようとしてくるんですけど!?


 すると陽キャ軍団の男子が加山さんに話しかけた。


「香山さんおはようございます!」


 と、香山さんに複数人が話しかけてくるが、


「おはよう」


 と声をかけたあと、あろうことか俺の方を見てこっちに向かって歩き出した。


(ちょっとちょっとちょっと!!!駄目でしょ俺の方に来たら!!)


 またも俺は内心で絶叫する。


 「……終、なんで桜姫がこっちに向かってきてるんだ?」


 「…………察せ」 


 (死んだわ、完全に俺は死んだわ……この人生楽しかったな………)


 そう現実逃避をついしてしまった。


 「おはようございます久遠くん」


 「……おはよう香山さん」


 俺は香山さんの笑顔に若干やられながらも返事をする。


 そして溢れ出す男子の俺への殺意!


 「……ねえ、なんで俺の方に来たの?他にもたくさん話す人がいるんじゃないか?」


 「昨日歌を一緒に歌ったじゃないですか? 」


 「まあ、そうだけどさ……」


 それとこれって関係あります?何一つ関係あるところがないんですが?


 「だから歌に関する話題ができるかなって思ったんです」


 「……なるほどね……でもさ、こんな人前で俺ん所に来ちゃ不味いだろ!」


 「?なんでですか?」


 (香山さん!少しは自分自身がもたらす周りへの影響を考えてくださいよ!)


 冷や汗をダラダラと垂らしながら内心絶叫する俺。仕方ないじゃん!今の男子たちの目を見てよ!あれ絶対殺人鬼がしてる目だから!


 もちろん、これ以上男子が待っていてくれたのは奇跡であって、俺には当然制裁が下るのだ。


 俺は琉星に目を向け、助けてほしいと目で訴える。琉星は頷くと立ち上がった。ありがとう!本当にありがとう!!


 しかし、俺は気付くべきだった。前に俺が琉星のことをこてんぱんにしていることに。


 「お前らッ!!この悪魔を許せるか!?」


 「「「「「「「「「「否ッ!!!!!」」」」」」」」」」


 …………………ん?


 おかしいな?俺の目と耳が狂ってなければ琉星が男子共を煽動してるようにしか見えないんだが?


 「あの桜姫に声をかけられた悪魔を許せるか!?」


 「「「「「「「「「「否ッ!!!!!」」」」」」」」」」


 琉星が口の端を吊り上げながら男子共を煽動する。


 (コイツ………!!絶対確信犯だろ!!)


 俺は、ようやく謀られていたことに気づいて怒りのボルテージが急速に貯まっていく。


 姫川さんと香山さんはアタフタとしていて、男子共を説得できそうにもない。……というか逆効果だ。


 「ならば我々の手で鉄槌を下そうではないか!!」


「「「「「「「「「「応ッ!!!!!」」」」」」」」」」


 男子共の姿を見た琉星の笑みが更に深くなる。………よし、決めた。こいつは後で絶対に殺ってやる……


 「かかれ!!!」


「「「「「「「「「「おおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」」」」」」


 この日、俺達は反省文15枚を書くハメになったのだった。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 まだまだこの一日は終わりません!

 書き溜めた続きが後10000字くらいあります!これから一週間に1、2話くらいのペースですが今後もよろしくお願いします!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

底無しの歌好きがいつの間にか学校のアイドルに惚れられていた リフレイン @rifrain

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ