第26話 秘密軍事組織
マリアンヌから聞いた事がある。
現在フランス外人部隊には空中からの強襲を行う空挺部隊は第二外人落下傘連隊しか存在しないと。
しかし始めはそうでなかった。
ベトナムでの戦争で創設されたはじめ3つの落下傘大隊は時間がたつにつれこれが第一と第二の落下傘連隊へと拡張された。その後、当時フランスの植民地だったアルジェリアの原住民達は独立を求めて武装闘争をフランス側と繰り広げており、その鎮圧の為にこの2個連隊も投入された。しかし転機が訪れた。フランス側の独立反対派が神輿として担ぎ出し大統領の座に付けさせたドゴールが一転してアルジェリアの独立を認めたのだ。
憤慨した4人の老将達に率いられた第一外人落下傘連隊は1961年ドゴールへの反乱に参加したのだ。失敗に終わった反乱は第一の13年に及ぶ連隊史に幕を閉じさせた。
目の前の先程まで冴えない印象を与えていた彼は静かにそして淡々と生き証人の様にあたしの前に立っていた。
でも彼はもう一つの事実を言い放った。
ぼくは秘密軍事組織の工作員なのだと。
秘密軍事組織と言えばまさにドゴールの暗殺を企てたテロ組織だ。お兄さんがまさかその構成員だったとは・・・。
「君にも後ろめたい過去がある様に僕にもあるんだよ。現在では一般的にテロリストとされているが。」
「お兄さんは大統領を暗殺しようとしたから今まで家に帰らなかったんですか?」
お兄さんの顔に変化はない。それが何か変。
「そうだけど、少し違うんだ。」
話している内に足音が聞こえた。お兄さんにも聞こえたようで足音の方へ警戒した顔を向けるとすぐにあたしの方へ顔を戻した。
「ひとまず移動しながら話そうか。ここにいたままだと危険すぎる。」
「えぇ、そうですね。行きましょうか。」
近づいて来る足音を後ろにあたし達はすぐさま教室を離れる事にした。
秘密工作員 デルタゼロ ル・カレー3b @lecurry3b
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