しゃべるたびに黒い液体を飛び散らかす黒いかたまりと、かたまりから掃除代としてお金をもらって生活する俺。お金で成り立つ関係なのかと言えばそうでもない。それは「なんのために生きるのか」という問いに対する正解はなく、かつ正解らしきものは複数存在して絡みあっており、中には嘘から出た真もある、ということにも似ている。この二人の、不確かでありながら確実に積み重ねてきた不思議な関係と、切ない読後感を、ぜひ味わってください。