3話
「俺の部屋はここ」
あの後、近所のホームセンターで布団を買い、俺は金を連れて帰宅した。
「思っていたより片付けてあるわね」
「この前酒月、あー……友達の家に行った時、そいつの部屋がすごい汚部屋でさそれで、こんな部屋には絶対にしたくないなって思ったから、それで」
「反面教師ね」
「そ」
俺は鞄を置いて買ったばかりの布団を床に広げ、風呂を入れる。
「勝手に風呂入っておいて。俺、宿題あるから」
「夕飯はいいの?」
「バイトで賄い食ったから今日はいい」
「そう、分かったわ」
正直、今日は疲れたから金に気を使ってやれるほど余裕はない。
明日は金自身や妖怪のことでも聞いてみるか。
それと明日すべき事は………………
宿題と今後の予定立てを同時進行で行なったため、寝たのは深夜3時となった。
*****
「海さん朝よ、朝。起きて」
「ふぇ……」
ええと、この声は……。
女性……!?
あれっ、俺いつの間に彼女作って同棲を____!
…………。
思い出した。
金だ。
昨日いろいろあってうちに住むことになったんだった。
突然出会って「拾え」って言われて……。
今思い返したらトントン拍子過ぎないか、これ。
「起きないなら……仕方がないわね」
……何をするのかは知らないが、嫌な予感しかしない。
そして嫌な予感というものは的中率がとても高いというのはお約束だ。
起きよう。
「おはよー今起き、バゴフンッ!?」
腹に強い衝撃と共にベランダに飛ばされる。
金が俺の腹を殴ったのだ。
「痛ッ!?」
「あら、起きたわね」
「「あら」じゃないだろ!死ぬかと思った!!というかお前、すごい馬鹿ぢか、リャッ!!?」
今度は腕を思い切り捻られる。
音がメリメリと……。
「痛い痛い痛い!!ギブっ!」
金はそれに応えて腕を解放。
骨折していないか確認する俺を横目に、手を払いテーブルへと向かう。
こいつ、そういえば鬼って言ってたよな。
それなら怪力に納得がいく、が……。
……早起きの習慣をつけなければいつか命を落としてしまうのでは。
「私は寝坊されるのが嫌いなの。わかったら明日から早起きは徹底よ」
「……はい」
同居早々、尻に敷かれてるな、俺。
「朝食は冷蔵庫にあるものを使わせてもらったわ。和食でよかったかしら?」
「ああ。いいよ」
食卓に並べられた金の手作り朝食を食べてみる。
献立は白米、味噌汁、サバの味噌煮だ。
「味は、どう?」
全て頂いて、一人暮らしを開始して以来初めてこう思った。
「めっちゃくちゃうまい」
来年の話をすると鬼を拾った。 にら @banirasukesuke
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