第24話 新ジョブが来たけどやっぱり不遇な件について


「で。それで覗きをしたって言いたいの?」


「えぇ、これは致し方ないことだと思うの」



 対面に座る斎藤含め他女子達を咎めるように見下す。

 現在僕達は大浴場から上がり、広々としたリビングのソファーでくつろいでいる。流石斎藤ヴィレッジというか、中にある設備も一級品だ。今座っているソファーだって沈むかの如く柔らかい。

 え、まじでこれ柔らかいですけど!? 何の素材使ってんの!?


 っと。話がそれた。


「いや仕方なさなんかないからね。しかも普通逆だからね? 何で君たちが覗きなんかやってんのさ」

「う、うぅ……ごめん……」



 四条が顔をトマトのように赤面させてうつむいた。そうだよこれこれ。普通こういう反応になるんだよ。斎藤のように開き直るような反応は稀有なのだ。ちなみに幼女ちゃん訳も分からず可愛くポカーンとしてるだけ。



 やはり何度も経緯を聞いたが、頭がイカれてるとしか思えない。精神病院をおすすめするレベル。

 僕が覗くならまぁ分かる。男とはそういうものだからね。でも女子が除きに来るなんて聞いたことないわ。それを仕方ないだけで済ますなんて無理筋にも程がある。



『まぁまぁ女子なんてこんなものさ。君は女子の生態については皆無だから理解しがたいだろうが』

「うっさいわ。だいたい君だってろくに男子のこと知らないでしょ絶対」

『否定はしないね』


 くぅ。この余裕さが小憎たらしい。ドローンを通すとこの自宅警備員は途端に強気になる。後で四条に部屋から引きずり出させてやるからな。


『そう言えば上位ジョブが解放されたのだろう? どんなものだったんだい?』

「あっ」


 そう言えばバタバタしていて忘れていた。巨大獣ミノタウロスを倒したことで解放されたんだった。


「詐欺師の上位ジョブ……またろくでもなさそうね」

「北原! 勿体ぶらないで早く見せなさいよ!!」

「わくわくっ! どんなのか楽しみなのれす!」


 バーゲンセールかの如く押し寄せる女性陣。ちょっ、こういうのは本人からでしょうよっ。もみくちゃにされる中なんとか身をかがめてスマホ死守する。

 スマホに表示されたジョブは、


「えぇと……欺瞞師?」  


「なんか更に胡散臭そうになったわね……」



 うっさいぞ斎藤。

 欺瞞師、はいはい欺瞞師ね。

 何それもう欺瞞に満ちたことでも言えばいいってこと?


 …………………………………………………………………………………………………………



 いやまぁはい。察してましたよ。だって詐欺師の上位ジョブでしょ?

 もうね、ろくなものが来る予感がしなかったもの。


「あ、あはは……まぁ、大事なのは性能だから」


 普段はつんけんしている四条もこれには苦笑いだ。フォローしてくれてるのだが、その優しさが逆に染みる。


『それでどうするんだい? ジョブチェンジするのかい?』


「するよしますよやりますよ。ジョブには色々不満だけど他に選択肢もあるわけじゃないしね」



 どのみち詐欺師にしかジョブ適正がないのだ。今更他のジョブを選択しようなどとは思わない。結局は自分に出来る事の中でやりくりしていくしかないのだ。


『ジョブ変更を確認。上位職業アドバンスジョブ欺瞞師に変更』


 欺瞞師を選択すると体が一瞬ほのかに光った。そして体から重りが消え去るような感覚がした。なんだ妙に体が軽いな。



「あんまり変わったようには見えないれす」

「ジョブが変わっても格好が変わる仕様じゃないみたいだからね」


 幼女ちゃんの疑問も分かるが、斎藤がジョブを変えた時も特に姿に変化はなかった。ゲームによっては職業によって姿も変わるものもあるがこのRPGは違うらしい。まぁ、そこはゲームと現実の違いというやつだろう。

 そんなことは割りとどうでもよくて、さてさてステータスはどんな感じかなっと。



 北原ムンク

 Lv.30

 job :欺瞞師Lv.1


 HP 520(-35)

 MP 65(-20)

 SP 70(+45)


 筋力 31(−6)

 耐久 25(−6)

 知力 23(+6)

 俊敏 55(+30)

 集中 48(+15)

 運  2


 適合武器:短剣


 Skill:【痛覚無視Lv.10】【感情制御Lv.10】

    【舌回Lv.10】【戯言Lv.10】【投擲Lv.10】

    【隠蔽Lv.10】【探索Lv.10】【解析Lv.10】

    【背刺Lv.8】【身体能力Lv.10】【猫騙Lv.1】

    【虚栄心Lv.10】【鎖操作Lv.10】【加速Lv.7】

    【解説】【事故欺瞞】【欺瞞に満ちた戯言】

   【偽装殺意デコイLv.1】


 称号:【決断者】【ニート】【亜人種Ⅰ特効】





「へぇ……」

「あら、中々に使えそうなものだったのかしら?」



【欺瞞師】


 詐欺師の上位職。おそらくろくでもないジョブだとおもいます。だって詐欺師の上位職だし(笑)

 嘘で塗り固められた人生の如く色々と偽装できる。ツイッターとかで金持ちアピールして簡単にお金が稼げるとかほざくアレみたいなもんですね。



 相変わらずシステムの説明はゴミクズだが、新スキル含めて色々面白い事が出来そうなジョブだ。あと地味にステータスの上昇値が悪くない。早く試してみたい。


 パンッパンッ


 僕の新ジョブで話が盛り上がる中、ドローンが手を叩き話を止めた。正確にはドローンから手を叩く音声が流れただが。

 ドローンに全員の視線が集まる。


『さてとかなり迂遠な形となったが、そろそろ本題に入ろうか』

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