第63話 一章エピローグ的な何か。というか章わけされてるとか初耳なんですけど。
長い長い一日が過ぎた。
六魔天との死闘の後、僕らはなんとか校舎の保健室に戻り倒れるように寝てしまった。
そりゃもうぐっすりと。体感的には三日ぐらい寝た。
実際は二十時間ぐらい?
それでも寝過ぎか。
窓から外に視線を向けると、太陽は既に真上に昇っている。
「うぅ、床で寝たから体が痛い……」
腰を左右にひねりコキコキと小気味良い音をならす四条。縦横無尽に謙遜せず揺れる双丘がとても素晴らしい。国宝に認定してもいいレベル。国宝とかよく知らんけど。
「そもそも保健室のベッドが硬すぎるわ……」
ブルジョアな発言をナチュラルにする斎藤。流石ナチュラルブルジョア。
そうね、君の家金持ちだもんね。そりゃベッドふかふかですもんね。
かくいう僕も床でうつぶせで寝てたから、体が痛い。
いやー背中をそらすとベキベキ音がなるから気持ちがいい。
なんというか痛気持ちいい感じ?
「なんか騒がしいっていうか煩くない?」
「あれでしょうね」
斎藤が指差す先にはなんというか、学校には似合わないものがあった。
まぁ、そりゃ煩いわなぁ。
答え合わせをするように、空の上から規則的な音を奏でる鉄の塊が学校の校庭に降りてきた。
全部で五台。
これでもかと言うほど黒に塗りたくったヘリコプターだ。しかも大人数を収用できるタイプの。
そのヘリコプターから次々と人が降りてくる。
救助に来たのかな?
しかしわざわざ学校に救助隊って来るもんなの?
今の状況は多分全国規模のはずだ。
ならここ意外にもっと優先する場所なんて沢山あるような気がする。
「あのマーク……」
斎藤はどこか心当たりがあるみたいだ。
「アーちゃん何か知ってるの?」
「えぇ、あれは逢魔家のものね」
四条は露骨に顔をひきつらせる。
まぁ、色々と確執があるから仕方なし。
「てことは鉢合わせになると面倒そうだね」
「そうね。ささっとここから出てしまいましょう。四条さん改めてよろしくね?」
「こっちこそよろしくね! アーちゃん!」
固い握手をする二人。百合な空気ですね、ハイ。
僕ぁ、無粋なことするタイプじゃないので無理矢理間に入りたがるなんてことしないよ!
イエスノータッチ!!
「あ! ついでに北原もよろしくねー」
なんか扱いが軽い。
さりとてコミュ障なので握手なんて出来ない。
首を少し落としてウスと軽く返事をした。僕に出来ることなどこの程度だ。所詮はコミュ障のボッチクソオタク。過剰な期待はやめて欲しいね。
「さ、いくわよ。ついで君?」
「ほら! いくわよ! ついで!」
目の前には僕が関わるにはあまりにも恐れ多い美少女が二人。黒髪ロングクール系美少女とツインテ巨乳ギャル系美少女である。でも発言は中々に辛辣なのだ。
僕の扱いはこれからもこんな感じなのだろうか?
窓の外に視線を向けると、ギャルゲー君こと轟氏が生徒会長と幼なじみを両手に花に騒がしくしているようだ。なんたる落差。
おい、運営呼べ。
こちらとの落差に神様を呪いたくなる。
いや、こんな世界になっても何もしてないから神様なんてやっぱいないんだろうけどさ。
まぁ、いたところで神様なんて嫌いだよ! ばーか!
ーーーーー
本日も晴天なり。
生徒会長達にばれないように裏門に来た。
てか、今さらだけど生徒会長生きてたんすね。アレストさんの拳がめり込んで、潰れたアンパンみたいだったのにね。でも二度と会いたくねぇなぁ。
一つの事柄が過ぎたからといって世界の状況はさして変わらない。
たどり着く前にゴブリンやらオークに遭遇したので倒した。
相も変わらずデストロイな感じだ。
この分だと裏門から広がる外の世界も、やはり世紀末な感じに成り果てているよなぁ。
きっと近くない未来というか明日にでもというか、現在進行形で数日前まで続いていた平和に未練がましく恋しく思いを馳せることになりかけている。
総勢三人。この団体もまだ仲間とは決して言いがたい。所詮、単なる寄せ集めだ。
ぶっちゃけ状況はかなりよろしくないわけだ。
世の中は滅茶苦茶。
周りも完全には信頼出来るわけもなし。
まぁ、それでもーー
それでも、この世界はやはりなんだか楽しそうだ。
とても自由にいられる気がする。
「さぁ、世界を見に行こうか」
まるで平和とはほど遠い世界に替わったけど。
きっと、この裏門から続く世界は楽しいはずだ。
ーーー
「ラストのあれは何かしら。何主人公みたいな雰囲気だして浸ってるのかしら。」
「そうよ!北原の癖に生意気よ!」
あっれーいい感じに締めたよねー?
あっれー?
ほんと扱いがひどいなぁ。
ほんとにこの世界は楽しいんだよね?よね?
誰か答えてくれよ!?
ほんと期待してるからな!? 頼むからね、ほんと!?
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