第55話 詐欺師さんはなんとか逃げたい




 前回までのあらすじ!

 いきなり現れたゴブリンやオークは異世界からの侵略者だった!

 まさかの異世界逆転移ものだったとか聞いてない~!

 一体どうなちゃうの~~~!!!!



 いや、まじでどうすんだよこれ。スケール大きすぎて手に追えないよこれ。

 しまったな……こんなことになるならギャルゲー君を連れてくれば良かった。

 ほら、彼こういう展開に合いそうだからね。なんなら勇者とかもぴったりだよ。目とかキラキラしてるし。





 

 「はぁ!? じゃあ、なに!? あのモンスターは異世界から来た侵略者とでも言うの!?」



 あ、駄目だぞ四条。あの手のタイプにモンスターとか言うと……



 「あぁん? だからそう言ってんだろうが。飲み込みわりぃな、おい」



 ほら、超不機嫌になるじゃん……まぁ、そりゃ自分の種族をモンスター呼ばわりしていい気分になる奴はあんまりいないからね。



 「はぁ!? 何よ! そのいっーーわぷ!?」



 このままだと、売り言葉に買い言葉で喧嘩というか殺し合いになりそうなので無理矢理四条の口を押さえる。


 後で気持ち悪いとか言われてメンタルがブレイクするだろうけど今はそれどころではない。



 「えーと、なんというかうちの連れが失礼しましたね。一応この子も悪気はないんですよ」



 とりあえず不機嫌そうなので、とりあえずフォローしておこう。

 アレストは鼻息を掻き鳴らすと、ギロリと僕を睨んできた。なんぞ?




 「へぇ、中々お前はいいぞ。見た目はどうも貧弱にしか見えないが肝が座ってる。ちゃんと覚悟もある。いい戦士だ」



 人はそれをやけくそと言う。

 いや、怖いよ?

 内心滅茶苦茶震えてるよ?

 おしっこチビったし。




 「その戦争っていうなら白旗挙げれば逃がしてくれます? ほら、僕はその見た目通り貧弱なので戦争向きじゃないですし」



 ともかく逃げの一手に尽きるね。僕は確実に勝てる相手としか戦いたくない主義ですしおすし。

 上手くいけば逃がしてくれるかもしない。この人そこはかとなくいい人な感じがするし。



 それにこう無駄に会話を続ければ、




 「駄目だ。何度も同じことを言わせんな。俺ぁゴブリン共の頭としてつけなきゃならねぇ、けじめがある。分かるだろ? けじめだけじめ」



 うぅ、駄目か。怖い。こちとら陰キャボッチクソオタクだぞ。でも、駄目だ。弱気を見せちゃ駄目だ。


 こういうヤンキーというか武闘派は異様に弱気なタイプを嫌う。だから、出来るだけ強気で行かないといけない。


 逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げたい。



 「こっちだって殺されたんですけど……だったら、お互い様じゃないですかね。だから、今回は手打ちに出来ないですかね……?」




 「グハハ!!! 中々に面白いこと言うじゃねーか!!」



 やっぱり、ヤンキータイプは訳が分からないよ。あいつらなんで無駄に強気タイプだと喜ぶんだろ……強気な奴なんて面倒なだけじゃん……。




 「でも駄目だ」



 笑ってくれてるし意外と逃がしてくれるかなーとか思ったけどやっぱり駄目か。有無を言わせないものがあった。



 「逃がしてやりてーのは山々なんだがなぁ。お前がこの世界でそれなりの立場にいるなら、その提案も筋が通るだろうよ」



 「えっ どういうことなのよ?」


 首をかしげる四条。

 四条氏あんまり頭よくないのね……いや、僕も成績とか地を這う如しなんだけどさ。


 あぁ、でもこう来たかぁ。つまり、言外にお前程度では交渉する価値がないと言われているのだ。そりゃそうだ。ニート志望の僕に現代社会に置ける価値は皆無なのだ。




 「だが、お前は戦士だ。戦士であるならばやることは決まっている。戦士であるなら、己が手で存在理由を証明しやがれ」




 まぁ、詰まるところ。どれだけ、言葉を重ねて誤魔化そうにも戦いからは逃げれないってことね。やだなー。

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