第40話 生徒会長からは! 逃れられない!

 生徒会長からは 逃げられない!




 どこぞの大魔王かのごとく、逃亡を決して許してくれないという困った再現性を見せる生徒会長様。

 何その再現性。現実ってほんといらねーことまで再現するよね。ほんとくそ。



「わぁ、生徒会長様自らのお越しですよ。僕なんて下々の人間にお構い無く。ていうか、オークさん達をどうにかしたほうがいいんじゃないですか?」



 何せオークさんは狂暴だからね。特に女子生徒とか乱暴されかねない。

 まぁ、呼び寄せたのは僕らなんですけどね。



「白々しい、よくそんなこと言えたものだね」



「いえ、秘書がやりました」



「貴方ね……」




 いえ、本当に僕やってないし。

 なんか僕が主犯みたいな言い方されても……

 いや、感謝はしてるけどね?




「提案なんだけど……僕たちを見逃さない? ほら、僕たちもう君たちに会わないって約束するしこの学校からすぐ出るよ?」



「これだけの被害を出しておいて、それは通らないと思うけど?」



 うっ やっぱりお怒りですかね。

 顔は笑っているのに目は笑っていない。どす黒い虚無だ。



「いや、まぁそこはお互いに冷静になってですね。これ以上の争いは何も生まないと思うのです。ラブアンドピース的な」



「ふふっ 見せしめって必要だと君は思わないかな?」


 逢魔は嗜虐的な笑みを浮かべながらゆっくりと自分の指を嘗めた。


 え? なんで嘗めたの? 意味ある?

 エロいけど。


 後、くねっとするな。若干興奮しちゃうでしょ。


 動作がいちいちエロいなこの人。



「うわぁ、ほらそういうの良くないと思うんだよね。ほら、いま現代ですよ? そんな魔女狩りみたく中世チックなこと流行らないと思うんだよなぁ……」



「おや、意外と古典的な手段だけど効果はかなり高いのだよ? 民衆なんて愚の集まりなんだからすぐ騙される」



 生徒会長は過激派だった。将来テロとか起こしそう。なんか平民のこと馬鹿にしてるし。



 斎藤に視線を向けると肩を竦めるだけだった。


 彼女は微塵も交渉の余地がないと知っていたみたいだ。


 それなら言ってよ。余計に話しちゃったじゃん。



「それにね……斎藤さん、四條さん貴方達正直目障りなんだよ。悠君の近くにいられるだけで腸が煮え変えるような思いがするわ!!!」



 やだ、女の嫉妬ってこわい。あの表情あれだね、人を呪い殺しそう。恋する乙女がしていい表情じゃないなぁ。


 あと、ボーイッシュな口調が崩れてますよ。



「あれ? そうなると僕はあんまり関係ないような……?」



 君たちの色恋沙汰じゃない。僕なんて微塵も関わってないですし。

 なんなら、世界が変わる前なんてろくに女の子と会話した記憶すらないですし。えぇ、ほんとに。




「北原君……君はついでだね。しいていうなら貴方ごときの矮小な存在が私に楯突いたということがそもそも罪だよ」



 ついでとか。しかも罪と来ましたか。


 ええーていうか主人公(笑)の提案を断っただけで、鎖で自由を奪われるわ殺す理由になるとか滅茶苦茶でしょ……


 恋する乙女は止まらないとかそんなレベルじゃないよ、これ。ブレーキの壊れたダンプカー。



「でも、貴方一人で何が出来ると言うのかしら。これでも私たちはそれなり強いのよ?」



 逢魔はRPGについて理解していたみたいだから、おそらくステータスを取得しているだろう。


 でも、こちらは二人でそこそこレベリングもしている。


 普通に考えれば負けないわな。




「あぁ、だから助っ人を呼ばしてもらうよ」



 そう言って逢魔が指パッチンするとそこら中からグールがわらわらと沸いてきた。



 え? 君たち今までどこいたの?



「こんな数のグールを!?」



 え? まじで?


 数にして100近くいるんですけど……


 え? まじでこの数相手にしないといけないの?



 しかも、それを指パッチンひとつで呼べるとかやばいね。

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