第37話 さらばギャルゲー君。出来れば二度と会いたくない? え? フラグ? そんなー。
轟悠人
Lv.1
job :???
HP 100
MP 10
SP 10
筋力 10
耐久 10
知力 10
俊敏 10
集中 10
運 1
適合武器: ???
称号:【ハーレム王】
「ステータスを見る限り多分一般人だろうね」
「そのようね。レベル1のようだしね」
僕が最初レベルアップした後のレベルは二だった。
つまり、ギャルゲー君はモンスターを一体も倒しておらず、レベルアップもしていないということだろう。
しかし、状況からすれば圧倒的不利なずなのに彼は意気軒昂たる姿だ。
「お前なんかまたこの鎖でイチコロだぜ!」
「へぇ……」
またとか言うってことは、前回この鎖を操っていたのも轟ということか。
「北原君、あまり油断はしないほうがいいわ」
四条に話を聞いたのか、斎藤もあの鎖を警戒している。
ギャルゲー君のステータスが大したことない以上、レベル差のある僕を拘束した要因はあの鎖に他ならない。
「まぁ、どれだけその鎖が凄かろうとーー触れなきゃ意味がない」
ステータスの上昇により強化された身体能力による強引な加速。
ギャルゲー君からしたら、いきなり目の前に現れたように見えることだろう。
「くっ! くそがっ!!」
慌てて鎖を動かそうとするが
「
斎藤が魔術で弾き飛ばした。相変わらずいい腕してるぜ。
彼からしたら思い人に妨害されてるのだからダブルショックでしかないけど。
「斎藤さん!? 邪魔するなよ!?」
「おっと、
がら空きになったところをアッパーカット。
武器とかで攻撃したら多分死んじゃうし。
「ま、まだだ!!」
まだ諦めていないのか鎖を放つ轟。やはりギャルゲー主人公っぽく諦めない不屈の精神的なのがあるらしい。
しかし、現実は厳しく僕らの間には圧倒的な実力差がある。気合いや根性ではどうしようもないのだ。
まぁ、つまるところ弱いものいじめしてる見たいでなんか罪悪感が出てくる。イジメカッコワルイ。
「ほいっとな」
さりとて、馬鹿正直に攻撃も喰らうわけにもいかない。
僕も対抗して鎖を走らせる。
「ん?」
衝突の刹那、一瞬ではあるが鎖の動きが鈍くなる。
そして、黒板に爪を突き立てるかの如く騒音が鳴り響いた。
「きゃっ」
「な、なんだこれ!?」
辺りが眩いばかりの光に包まれたかと思ったら鎖が一つになった。
え? なんで!?
しかも、なんか黒くて厳つくなってるし……なんで?
ーーー
『SYSTEM ERROR』
『SYSTEM ERROR』
『SYSTEM ERROR』
『Reビ%※℃』
『精製
「鎖達が融合した……?」
斎藤は目の前の光景に呆然としている。
僕だってそうだ。
いきなり光ったと思ったら僕の鎖がすんごいことになった件について。
薄汚れた鼠色から光を飲み込む漆黒色に。心なしか鎖自体も大きくなっている。
え、まじでどういこと?
しかし、鎖は僕の回りにぐるぐると浮かぶばかりでうんともすんとも言いやしない。
こういう時はお馴染み解説スキルさんにお頼みだ!
『
手癖というか口癖が悪い鎖。
余計なことしか喋らない詐欺師にはおあつらえ向きですね。
「こんにゃろー!」
スマホにポップアップする解説テキスト。
相変わらず解説スキルさんはてきとー。もうなんか謎の安心感すらあるね。
「相変わらず糞みたいな説明文ね……って他にも何か書いてあるわよ」
体を寄せて僕のスマホを覗き込む斎藤氏。やめて、なんかいい香りするからやめて。惚れちゃうから!
「え、えーと何々……」
ふむ、中々面白そうな名前のアビリティだ。さてさて、こいつらの効果はーー
「ど、どういうことだ!? お、俺の鎖はどこ行った!?」
あ、ギャルゲー君のこと忘れてた。
「あーいや、なんか僕の鎖と融合しちゃったみたい?」
「はぁ!? なんだよそれ! か、返せよ!! 返してくれよ、俺の鎖を!!」
いや、なんかごめんね?
でも、これ僕の武器だから貰っておくね。
何て言おうか迷っていると、斎藤が一歩前に出た。
流石に慰めてあげるのだろうか。
「見苦しいわよ、轟君。武器をなくした貴方に出来ることはもうないわ。往生際の悪い男は気持ち悪いわ」
まさかの追い討ちだった。この子、人の心を持ち合わしてるのかな。
しかし、ギャルゲー君は踏んだり蹴ったりだなほんと。
好きな人に振られるは、武器奪われるわ。
「じゃあ、私達は先に進むわ。私のことを思うなら追ってこない欲しいわね」
ガックリと項垂れて膝を落とす轟。
大丈夫、斎藤に振られたところで君はギャルゲー主人公みたいなもんだから。
他にも可愛い女の子が沢山いるさ。
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