第34話 レベルマウントとか最低だと思うの。え? ガチャ爆死煽り? 知りませんなー byムンク

 人生と言うのは不測の事態の連続だ。どこぞの名物教授が偉そうに予想できたことだと宣うがそんなもの所詮後の祭りでしかない。



 僕の人生で椅子に鎖で縛り付けられるなんて事態を一体誰が予測できただろうか?

 そして、処刑人らしき人影がゆっくりと近づいてくるなんてもってもの他だ。




 え? 僕死ぬの?



 暗がりの中、わずかに浮かぶその輪郭、姿はまるで処刑人のようだ。

 あまりの怖さに叫びそうになったし、少しチビりそうになったわ。

 いや、ごめん。嘘。

 少しチビったわ。




「しっ、喋らないで」



「え、まさかこんなところで終わりかぁ。遺言って残していい?」



「貴方ね、流石に私も傷つくわよ」



 処刑人に見えた人物はなんと斎藤さんだった。



 だって牢屋の前に立つ斎藤さん処刑人の雰囲気漂ってるんだもん。鋭い瞳は人何人か殺してそうだもの。



 ごめんて。



 ーーーー



「んーあんがと。流石に鎖に縛られて3日間はキツかったわー。あんまり鎖で放置プレイとか高度なことして欲しくないね」



 ぐっーと体を伸ばして背伸び。あー気持ちいい。鎖って窮屈すぎてキツかったなぁ。まだ、SMプレイは無理。



 椅子の残骸が無惨だ。


 鎖はガチャ産なだけあってどうやっても壊せなかった。


 なので、椅子をこわして巻き付けられた鎖を緩めることにした。


 そして、無事に解放されたわけである。



 ぺっ



 特に意味はないけどむかついたので鎖に唾を吐いておいた。少しは溜飲が下がったのでよしとしよう。



「北原君。お行儀が悪いわ」



「いや、僕じゃないよ。この腐れ鎖の行儀が悪かったんだよ。つまり、僕は無罪放免といっても過言じゃないね!」



「あと3日ぐらいは放置したほうがよったかしら……」



 斎藤様に視線を向けると溜め息を吐いてらっしゃった。


 僕を見て溜め息とかやめてほしい。



「しかし、あれだね。よく助けに来てくれたよね。いや、本当に感謝しているんだけどさ」



「何を今さら。貴方と私はパーティーよ。助けるに決まってるじゃない。ん?

 どうしたのかしら気持ち悪いアホ面さらして」



 格好良すぎて惚れかけるだろ……


 ふらふらと揺れてる自分の心を叱り正気に戻す。


 君子は言った。決して美少女に心を許すなと。君みたいな陰キャは振られるのが落ちですと。


 しかも、告白内容を全国に放送されて立ち直れなくなるでしょう。



 美少女ってこわ。



「また、馬鹿なこと考えてそうね……」



 失敬な。真剣だぞ。



「いやいや、そんなこと言うのが意外で。てっきりラブコメ野郎についてくのかと」



 何を隠そう、彼女は主人公君の意中の人なのだ。


 主人公君の猛烈なアピールは校内でも有名だったりする。



「嫌よ。正直彼みたいなの迷惑なの。勝手に盛り上がって回りまで巻き込んで本当に迷惑よ」



「え、そこまでいう? てっきりそのうちほだされるんだろうなぁと」


 流石氷帝。ぶれない流されない。振られた男は星の数!


 普通あそこまで熱烈アピールされたら割りと落とされる女の子のほうが多いのではないだろうか。



「殺すわよ」



 ほら、こんな感じだもの。こんなんおしっこがもっと漏れるわ。



「貴方は女の子のことを微塵も理解してないみたいだから教えてあげる。興味もない男から告白されたところで何も嬉しくないわ。むしろ、嫌悪感が出るくらいよ」



 捨て台詞のように「味のないガムを咬み続けるようなもの」とかいったよ、この人


 やっぱり、女の子って怖いですわ……



 ーーーー



「おお、スマホに武器まで」



「四条さんに感謝なさい。それも、ここに入れたのも彼女のお陰なんだから」



 へぇ。まさか彼女が僕を助けてくれるなんて思いもしなかった。


 ほら、一時期行動を共にしたとはいえ元々は生徒会長側だったはずだ。



 まぁ、彼女はなんというかいい奴だった。

 だから、いきなり拘束された僕に対して心苦しさを感じたのかもしれない。




「しかし、あいつら何なんだろうね。単なる自衛組織ならまだわかるけど、あれはもう宗教みたいだったよ」



「へぇ。中々的を得ている比喩ね。ねぇ、貴方はあれの中心が何だと思ってる?」



「そんなの、生徒会長でしょ」


 何か含みを持たせたよう問いかけだが一目瞭然だ。ボーナス問題にもほどがあるぜ。



「違うわ。彼よ」



 あれれ?



「んんん? どゆこと?」



 んんん????



「知ってると思うけど彼は女子から相当人気なのよ」




「そりゃ知ってるよ。うちの学校の代名詞だし、あのラブコメ集団は。しかし、何でまぁあそこまでモテるのかね。言っちゃ難だけど顔は普通だよね」



 もはやうちの学校の名物と化している。


 何故か奴の回りにはモデル並の美少女があつまりほとんどが彼のハーレムの一員となる。しかも、本人には自覚なしという。




「普通以下の貴方が言えることではないけどね」


 うるさいです。




「ここからは推察だけど彼女は彼の精神性を母体としてあの集団の見えないルールを作ったのよ。」



 なるほど。一応筋は通る。


 ギャルゲーとかそういう系の主人公は極端に綺麗事が大好きだし。殺しちゃいけない!とか。



「わざわざそんな面倒なことを?」


 でも、このグールとかを倒すのNGとか相当面倒だぞ。メリットある?



「彼女は自覚があるかどうかは置いといて彼の信奉者みたいなものなのよ。」



「ええ……何それ。じゃあ、この状態がそもそも目的ってこと?」



「北原君にしては察しがいいいわね。」


 相変わらず一言余計である。




「まぁ、いいわ。早くここから脱出しましょう。」



 ーーーーー


 部屋の扉に手をかけたと思ったら、扉を開けずに斎藤が振り向いた。


 なんぞ?



「あぁ、そういえば貴方レベルはいくつかしら?」



「え? たしか20だけど」



「そう……私は22よ。足手まとい君」



 えっ



 まさかのレベルマウント?




 さてはガチャの件を根に持ってるな!?


 く、悔しくなんかないんだからね!?


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る