第22話 暴力系ヒロインはもう流行らないし、下手したら追放されるからあれだけ止めろと言ったよね?

 



 前回までのあらすじ!

 モンスターに襲われていたツインテ少女を助けたらビンタされた!

 どういうことだってばよ……。

 ていうか、昨今暴力系ヒロインとか流行ってないから止めたほうがいいと思うの。



 そんな僕の心情なんて露知らず彼女は悪質クレーマーの如く吠える。



「アンタは何てことをっ!! この人殺しっ!!」



 親の敵の如く、睨み付けてくる四条氏。え、なにこれ。しかも、助けたのにプレゼントきついいちげきまでくれた。もしかして、グールの中に彼ピとかいた?



「え、じゃあどうしたら良かったのよ」



 まぁ、確かにグールさん達は首と胴体がお別れをしてしまっているけどさ。もう、どうしようもないけどねっ。


「なにも殺すまでもなかったじゃない!! 人殺しは犯罪よ!?」


 あぁ、そういう認識か。

 ま、確かに普通に考えたら人殺しか。モンスターとしか見ていない僕の認識のほうが世間一般的には可笑しいのかもしれない。


 もっとも、世間一般というもの自体が崩壊している可能性が高いけど。


 いずれにせよ、向こうから襲ってきてるのだから、むざむざ殺される理由はない。


 まぁ、蘇生薬があるので生き返らすことは出来るのかも知れないが。赤の他人に1000万円もかけるような聖人君子なんて僕は知らない。



「うーん。いや、でもなぁ向こうが襲ってきてるしなぁ」



 つまり、正当防衛。僕は悪くない。

 どっかのテイルズなアビスの主人公みたく自分の無罪を主張するね。

 あのゲームの主人公も悪いとは思わないがなぁ……。



「だからって!!! みんな悪い人じゃなかったのに!!」


 あーだめだこれ。どーしよ、この子話を聞いてくれないタイプのあれだ。

 他人の意見聞く気配ないもの。

 ていうか、そんなこと知らんし。悪い人じゃないからって僕に襲いかかっていいわけじゃない。



「えーじゃあなにさ、助けなければ良かったの?」



「そ、それは……じゃなくて! やり過ぎだって言ってんのよ!」


 やり過ぎか……さっきから突っかかり方に違和感があるな。




 それにしても、なんでだ?




 この違和感は。会話の噛み合わなさは?

 平和ボケした日本だ。元はクラスメイトだった人間を殺すことを忌避するのは解る。

 だけど、この感情は拒絶に近い。

 正しいと言えば正しい。正しいが、この状況では異常だ。


 まぁ、彼女が虫花を摘むことすら涙を見せる博愛主義で聖人君子の可能性もなくはないが、そんな人間普通いないので割愛。

 そもそも、向こうから襲ってくるのだから殺すのもやむ無しと考えるのが普通なはずだ。


 これじゃまるで自殺に近い。


 だけど、彼女にそれに気づいた様子はない。普通にこうなるか?

 いや、そんなはずはない。いざとなればどんな人間だって身勝手なはずだ。どんなに人徳に溢れる人間だろうと、命の危機に去らされれば化けの皮が剥がれるはずだ。




「まぁ、僕が許せないのはわかったけどさ。これからどうするん?」


 んーもういいや。なんか面倒臭いし。

 もう、てきとーに会話進めてこの場を去ろうかしら。



「そ、それは……」



「流石にモンスターとかゾンビ的な奴等に一人じゃ太刀打ち出来ないと思うけど……宛てとかあるの?」



「なんとか、一人でこっそり体育館に戻れば……」


「んーそこに行って何とかなるのかは分からないけど、モンスターがうじゃうじゃいるみたいだし、かなり難しくない?」


 体育館に何かあるのだろうか?

 安易だけど立て籠ってるのかな。かなりの人数が入れるし、妥当な線だと思うけど。


 あー、苦悶な表情浮かべてるよ。

 いや、僕も虐めたいわけじゃなくてね?

 何のプランもなくて体育館行くとかほら、自殺行為ですし。


「話はだいたい分かったわ。北原くん、少しこっちに来てくれるかしら?」


「え? まぁ、いいけど」


 コミュ障じゃないくせに、地蔵と化していた斎藤が、少し離れた場所に移動し手招きしてくる。

 ていうか、少しは会話に入るとかの助けが欲しかったんですけど。

 僕はコミュ障だよ?


 ーーー



 斎藤が離れるとツインテちゃんは心細そうに眉をひそめた。

 別に、とらないから安心して百合百合してて欲しい。

 ていうか、こんなおっかないのクーリングオフですよ。



「どう思う?」



「なんかあの子変なんだよね」



 どうと言われましてもね……そんな漠然とした質問されたら、こっちもそうなるわな。


 まぁ、実際変だし。



「あぁ、貴方にしては察しがいいわね。彼女洗脳されてるわ」



 はい? 洗脳?


 この現代に?


「え、なんで?」



「彼女の論理は色々破綻しているわ。貴方も感じているみたいだけど、普通は。まるで、人命を優先することを脅迫しているみたいだわ」  


 斎藤は心優しい彼女でもこれは異質だと話した。



「それはスキル的な意味で?」


 このRPGみたいなシステムだってまだ分からないことだらけだ。仮にそういうスキルが合っても驚きはしない。



「さぁ、どうでしょうね。どちらでもいいけど、そういうことが出来る存在には心当たりがあるわ」


 今、心当たりがあるということはこの世界が変わる前にそんな存在がいたということに違いない。

 しかし、嘘を言っているようにも思えない。



「まじかよ、そんな技術ほんとにあるんだなぁ。眉唾ものかと思ってたわ」



「そんなことはないわ。現代にだってたくさん溢れているもの。身近な例で言えばゴキブリに嫌悪感を示すのだってテレビによる洗脳みたいなものって説すらあるのよ」 



 まじかよ。

 でも、どのみち僕は無理ですわ。




「で、その心当たりがあるってのはどちら様で?」




 彼女はその名前を何の迷いもなく言い放った。


「そんなこと出来るのは一人しかいないわ。この学校の生徒会長、逢魔千歳よ」

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