第4話 僕の職業が不遇な件について①




 眩い光と共に黒い短剣が手のひらに握られていた。ずっしりとした重さを感じる。


 おお、ガチャを引くと物体がそのまま出現するのか。これ凄い技術なんじゃないの?よく分からんけど。


「これは……一応当たりなのか……な?」 


 スマホの画面にはSRと過剰に演出されてるから多分当たりだと思う。

 SR:暗殺者の短剣


 画面をタップすると短剣の説明文がポップアップした。


 SR:暗殺者の短剣

 伝説の暗殺者が使ったかもしれない短剣。


 攻撃力:15

 敏捷 :+5


 なんだこのふわっふわっした内容は。使ったかもしれない短剣ってなにさ。てきとー過ぎない?

 取り敢えず掲示板行くか。ソシャゲにおいてガチャ報告は義務なのだ。


『爆死☆報告会』


 42 :通りすがりのニート志望

 ちわす。ガチャ引いてきました。


 43 :通りすがりの剣帝さん

 爆死!爆死!爆殺ううううう!!!!


 44 :通りすがりの勇者王

 剣帝さんくい気味でワロタ



 45 :通りすがりの自宅警備員

 どうせ爆死でしょ。はよ、詳細はよ


 46 :通りすがりのニート志望

 SRでした。

 SR:暗殺者の短剣

 伝説の暗殺者が使ったかもしれない短剣。


 攻撃力:15

 敏捷 :+5


 47 :通りすがりの勇者王

 ‥‥‥


 48 :通りすがりの自宅警備員

 ‥‥‥


 49:通りすがりの幼女絶対主義者

 ‥‥‥


 50 :通りすがりの勇者王

 微妙……


 51 :通りすがりの自宅警備員

 ね…微妙…

 SRってほんと微妙過ぎて何も言えないわ……

 まだRとかNなら笑えるのに……


 52 :通りすがりの勇者王

 本当にね……

 あれ、剣帝さん……?


 53:通りすがりの幼女絶対主義者

 剣帝さん?剣帝さん大丈夫?


 54 :通りすがりの自宅警備員

 これは剣帝さん拗ねてログアウトしましたね……



 ーーー



 しばらくして、剣帝さんがまたスレッドに戻ってきた。

 まあ、しばらくといっても10分ぐらいだけどさ。


『爆死☆報告会』


 60 :通りすがりの剣帝さん

 ニート氏、ニート氏はいますか。


 61 :通りすがりの自宅警備員

 はい。


 62 :通りすがりの剣帝さん

 手遅れじゃない方です。


 63 :通りすがりの勇者王

 てwおwくwれwじゃwなwいwほwうw


 てか、剣帝さん戻ったんすね


 64:通りすがりの剣帝さん

 ええ、憂さ晴らしにゴブリンどもを殲滅してきました。


 65 :通りすがりの自宅警備員

 やだ、ナチュラルに理不尽な八つ当たり。この人怖い。


 66 :通りすがりのニート志望

 呼びました?どうも、手遅れじゃない方です。


 67 :通りすがりの自宅警備員

 こらwwwwwww

 68 :通りすがりの剣帝さん

 ニート氏。ニート氏が引いた武器はジョブ適合武器でしたか?


 69 :通りすがりのニート志望

 ジョブ???何のことですか?


 70 :通りすがりの勇者王

 あーそこからか。


 71 :通りすがりの自宅警備員

 ジョブも確認せずにすぐガチャを引きにいくあたりソシャゲーマーの

 闇を感じますね……


 72:通りすがりの幼女絶対主義者

 ワイ将ノータイムでガチャ引いた勢wwwww


 73 :通りすがりの勇者王

 ソシャゲーマーの鑑wwww

 あ、ワイもだ


 74 :通りすがりの剣帝さん

 ニート氏、ステータス画面開けます?そこでジョブと能力値とかが見られます。


 75 :通りすがりのニート志望

 おけです。見てきます。


 76 :通りすがりの剣帝さん

 新しくスレッド立てたのでよければどうぞ。

 もしかしたら、ジョブに関してアドバイスや情報交換が出来るやもしれません。

『ハロワ☆神殿』


 77:通りすがりの勇者王

 ええ、剣帝さん紳士すぎてどうしたの……さっきまで呪詛振りまいてたのに。




 ーーー


「相変わらずこういう系統の掲示板は混沌としているな……」


 あまりの騒々しさに辟易するわ。しかも、ガチャで出た武器に関してはろくに情報も得れなかったしさ。

 まあ、ハズレではなさそうだし良しとするか。


 指摘で思い出したがそう言えばアプリの項目にジョブとかあったわ。見ようとはしていたけど、ガチャに夢中ですっかり忘れていた。





 とにかくガチャも引いたことだし、ステータスとやらを見てみようじゃないか。チート的な感じだと嬉しいなー!


 僕はこういうのに詳しいんだ。あれでしょ?


 ここでチート級のジョブが割り振られていて無双やらハーレム的なのが出来るんでしょ。周りや敵にも何故か一目置かれて、まさに主人公的な。その後、なんかすんごい実績残して、後はその報奨金でハーレム員達と悠々自適で退廃的な生活をするんでしょ。わかるわかる、僕は詳しいんだ。


 これは……もしかして、僕の時代が来た?


 いや、あれですよ?僕とかもハーレムとかは興味無いんですけどね?むしろ最近は似たような小説とかが溢れてて「またハーレムかよ……」とかゲンナリしてたし。


 まあ、でも状況が許さないなら仕方ない。

 非常に乗り気では無いが仕方ない。世界がハーレムを作れというなら致し方無いというものだ。頼まれたことは無下にできないしね。



 さあて、世界を救うためにまずステータスとやらを見ましょうかね。



 ……


 …………


 ………………



 なんじゃこりゃ。




 北原ムンク

 Lv.2

 job :詐欺師Lv.1


 HP 60

 MP 5

 SP 10


 筋力 4(−1)

 耐久 3(−1)

 知力 6(+1)

 俊敏 5(+2)

 集中 4(+1)

 運 2

 

 

 適合武器: 短剣

 Skill:【痛覚無視Lv.1】【感情制御Lv.1】

【舌回Lv.1】【戯言Lv.1】【投擲Lv.1】

【解説】

 称号:【決断者】【ニート】




 まんま、全然ファイナルでもないファンタジーとかドラク○みたいなRPGだなぁ。


 はい、僕の夢3秒で砕けました。どう考えてもこれは……多分弱い気がするな。数字とか一桁だもん。色々RPGはやって来たがここまで貧弱な数字はあまり見たことがない。


 ていうかjobの詐欺師ってなんですかね、詐欺師って。称号のニートとか色々突っ込みどころあるけど、まず詐欺師でどう戦えっていうんですか、まじで。口八丁で相手を丸め込めばいいんですかね?

 モンスター通じるわけねえだろ。詰んだ。あはは、詰んだ。


 やっぱり世の中って糞だわ。

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