第8話武の極みへ至る道と今そこにある危機~あるいは肉食系女子について~

ぐーてんもるげん、肉祭りの翌朝なう。


状態異常:胃もたれ。


うん…2キロくらいは軽くあったはずの肉塊を5人で喰いきった辺りでヤバい気はしてました…!

それでも5年ぶりの揚げ物の魅力には抗えなかったよ…だが悔いはない!


うぇっぷ。


腹ごなしに妹と日課のラジオ体操開始。


…妹、まだちょっと邪神風味出てる。


「ぉはよ~。何してるのぉ?」


あ、ライカ嬢、もーにん…おぅ、またいつにもまして防御力低そうなお姿。


ちなみにライカ嬢、昨日はお泊りでした。

食い過ぎで動かすとヤバげだったので…乙女の尊厳的な意味で。


さておき、問われたならば答えねばなるまい…いや待て。

せっかくなので前世で一時期ハマってた太極拳の演武を教えてみる。

是非にも公園に集う爺婆ーず級の枯れ…もとい穏やかな精神を身に着けて頂きたい、切実に!


「へーほーふーん…」


流石〈天職:武闘家〉、筋が良い…んだけど。


あの、ライカ嬢。

さっきからちょいちょい見えちゃいけないポッチ的なものとかが…?


「えぇー?りっくんのエロ~♪」


なんで楽しそうな顔しますか。

前かがみとかしない!


ガチで10年早いので。


むしろ元アラフォー的に、顔を合わせる度に小遣いせびってくる姪っ子を思い出すのでしょっぱい気持ちに…!


あと妹、牝豹のポーズすんな?

寝起きの猫にしか見えないから。



―――やってるうちにライカ嬢の動きがどこぞのカンフー映画並みのキレを見せ始めました。

身の危険を感じたので強制終了。

うん、もしかしなくても鬼に金棒を与えてしまったのでは…カタカタ(((´・Д・`)))プルプル。



ひゅぼっ、とかすぱぁんっとか、しょうじょの出していいおとじゃねぇ。



今そこにある危機に戦慄しつつ朝食を作る。

揚げるには小さすぎて残してた肉の切れ端をスライス。

人参っぽい根菜と、大根っぽい根菜をちょろっと加えて煮る。


煮立ったら火を止めてお味噌投入。


じゃじゃん、トン汁~♪


瞬殺。


一杯しか食べれなかった…ぐすん。


「りっくん…わたし、今日からこの家の子になるぅ。」


ライカ嬢、マジ顔で何言い出しますか。


「あらあら~♪」


母上、神速でライカ嬢拉致って部屋の隅で密談始めない。


―――お嫁さん―――胃袋掴むのは無理―――やっぱりお色気で―――。


漏れ聞こえる内容が不穏過ぎる!?


朝食前とは別種の危機感に苛まれつつ朝のお努め。


今日は畑で実験です。


いきなりスキル発動!

いでよ味○素っ!!


コイツを水に溶かして散布ー♪


ばっしゃーばっしゃーばしゃばっしゃー♪

たーのしーいー♪


―――ナニか(具体的には背後から感じるようになったライカ嬢狩人の視線とか)をふっきるかのように無心で水を撒く。


いや味の○って肥料に使えるらしいんですよ?

元々植物の光合成って炭水化物から糖を作り、そこからアミノ酸を経てタンパク質で体を作るためにやってるわけです。

○の素って旨み成分すなわちアミノ酸、なので成長促進のショートカットになる様子。


一応前世ではこの理屈で作った肥料が販売されてましたので多分イケるはず。

まぁ味○素そのまま使おうとするとコスト的に洒落になりませんが、スキルで出し放題なので無問題!


…今更だけど質量保存の法則とか行方不明なんですが。

え?考えたら負け?うぃっす!


現実逃避と水をぶちまけるお仕事が終わったら昨日の重曹先生の成果を確認。

あ、ちょっと萎れてきてる、よしよし。


効果が出てることに気をよくして一旦帰宅すると玄関口にマイケルさんがいました。

どうやら血抜き云々の処理が終わったお肉の分け前の残りを持ってきて下さった模様。


「…おおぅ…肉山…!」


仕留めたボクの分け前は全体の5分の1くらいなんですが…元が軽トラレベルの大きさなので150キロくらいはあるんですよ。


イメージしにくかったらお相撲さん一人分の肉の山を想像してみましょう。


妹、だから恋する乙女の目で肉塊を見つめるのは止めなさいと。




…ある程度は村に売るとして…ベーコンでも作るか?

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【職業:味付けますたー】が異世界を征く!~なんでこの職業で無双してんのボク!?~ @yosinasigoto

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