第7話顕在する人望と戦果~あるいは今更な自己紹介について~

てくてくてく。

肉を背負いて歩く。


…最近見ないよね、この表現てくてく


さておき。


なかなかに濃い半日を経てようやく村に帰還致しました。

どうやら牙猪の件は既に村中に広まっているようでそこかしこから声をかけられます。


「あら、リド君!まぁたやらかしたんだって?あんまりフィリーネさんに心配かけるんじゃないよ!」

「にぃに!めっ!!」


マツ〇デラック…もとい飯屋のマウノさん、後ろ向きに善処します。


「またリドウェルの被災者が出たって?あぁ、メアリとライカ共犯か…ならば良し!!」

「にぃに、おそろ?」


曹そ…鍛冶屋のツァオさん、ウチの妹と幼馴染の名前に副音声入ってない?


「おぅ、リド坊!やんちゃもほどほどにな!」

「にぃに、やむちゃ!!」


妹、誰がかませヤ〇チャか!

後マイケルさん、アンタいつ帰ってきた。


「こう…ちょっと歩くだけでりっくんの立ち位置見えてウケるしぃ。」


ライカ嬢、君ら同類共犯でしてよ。


と言うかさー…品行方正にして紳士の鑑たるボクをまるでトラブルメイカーであるかのように…。



「「「「「(◦ □ ◦)」」」」」



…全員でポカーン顔すんな?


あ、サラっと流してましたが「ボク」ことリドウェルと申します、よろ。

でもって妹がメアリ、母上がフィリーネです。


え、父?そのうち出るんじゃね?(冷)


そこ、今更?とか言わない……!



―――そんなこんなでわちゃわちゃしつつ帰宅。


そっしってぇっ!本日のメーンイベントぉ!!

晩っっ御飯っ!!



…妹、お兄ちゃんキラッキラお目々☆で血の滴るような生肉見る幼女はどうかと思う。



まぁいい。



猪肉、良し。小麦粉、良し。卵、良し。くっそ固いパン、良し。

油は…脂身でラード作ればいける。


くっくっく…あーっはっはっは!!ようやくだ!ようやく我が野望が叶う時が来た!!!唸れ、我がスキルよっ!!!!


ぺかぺかっ…とんとんとん…ごりごり…。


妹、近い。


ぺたぺた…じゅわわぁ~。


妹、涎…。


ざくざくっ!


妹、まばたきしよう?




じょうずにできましたぁっ!


そう、やっぱ豚(猪)肉と言えばコレ!とんかつっ!!

塩コショウ強めの下味がジャスティス!!


え?とれとれの肉じゃぁ熟成が足りない?

ふっ…ぬかりはない。

熟成とはざっっくり言えば肉の中でタンパク質がアミノ酸に変化すること。

であるならば、あらゆる栄養素を総べる我に死角なしっ!


…<ぺかぺかっ>でスキルを使用してアミノ酸を増幅しておりましたまる


ただでさえ厄介なエイジング(熟成)。

しかも牛肉以上に難易度が高いと言われるエイジングポーク。


だがしかーし!時間経過無しで腐敗菌の増殖する暇を与えずに処理してしまえば臭みもなく、イイ感じに旨みたっぷりの肉に生まれ変わらせることも可能っ!!


更にスキル発動!追い打ちのとんかつソース!!後、みそだれと岩塩!


くくく…転生して幾星霜…夢にまで見た至高の豚肉料理(異論は認める)が今ここに!


「…いただきます…!」


うめぇ…うめぇよぉ…っ!!


「いたーきますっ!!~~~~~~~~~っ♪にぃにっ!にぃにっ!!はむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむ…」


うんうん、妹、たーんとお食べ………あの、息継ぎしよう?


…後、お代わりもあるから狩人の目で兄ちゃんのとんかつ見るのはやめようなー?


「あらあら、頂きます♪」


母上、さりげなく妹から自分の皿を遠ざけない。


「…。」


父、存在感。


「いっただっきまーす♪わ、何コレ!!すっごい美味しーぃ!!!」


…ライカ嬢、いつから混ざってました?

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