第45話 決定した船の名前

船に戻った雄一郎たちは気密室を出て装備室で宇宙服を脱ぎ普段着に着替えた。

「やっぱり宇宙服は窮屈ね、何とかならないかしら」

ジェニファーが宇宙服に文句を言った。

「そうだね、もう少し動き易い様に考え様かな」

ケンが妻のジェニファーに応えた。

「宇宙服の改良も必要なのは確かだか、現状は別の方法でも良いだろう、我々と彼らの違いは酸素濃度だけなのだからね、但し、その前に彼らの空気サンプルを取って毒素が無いか、病原菌、我々に有害な気体、ウィルス、細菌などの有無の確認が先だな」

「それは僕に任せて下さい、細菌も生物ですから僕の分野ですのでね」

「良し、ヘンリー、君に任せる、分析結果を終り次第見せて下さい」

「佐紀ちゃん、手伝って下さい」

「はい」

「その前にまずは食事にしましょうよ」

「賛成~」

「賛成~」

ジェニファーの意見に女性陣が賛同し、まずは食事をする事に決まった。

食事は多数決でカレーライスに決まった。


「彼らは本当に我々の祖先なんだろうか」

「そうだと思うけど何か疑問でもあるの」

「確かに基本部分は同じなのだが、余りにも背の高さが違うからね」

「でも、現代もどんどん平均身長が伸びているわよ」

「100年後、200年後、1000年後には3メートルになるかしら」

「何かの要因があるのだろう」

「そう、要因だ、彼らの生きた時代は酸素濃度が高かった事は現状の濃度で解る、生物は酸素濃度が高いと巨大化するらしい、恐竜の時代は酸素濃度が高かったようだ」

「彼らの文明の遺跡を現代文明は見つけているのかなぁ~」

「18億年も昔の文明よ、どんなに優れた物質でも形を維持出来ないわよ」

「金で作っても駄目かも知れないな」

「えぇ~、金は不滅なのじゃ無いのぉ」

「それは我々が知っている高々5000年程の話さ、1億年、5億年も維持出来るかは解らないと思うがね」

「そう、我々の理論では金も不変では無いのだ、只、他の物質よりも遅いだけなんだよ」

「彼らが発見した10億年前の遺跡ってどんな物だったのかなぁ~」

「10億年も残っているとは凄い遺物だ、凄い文明だ、現在の文明で10億年後に残る物は何も無いはずだからね」

「何が残っていたのかしらね」

「岩、石などの自然物を使った物では無いだろうね、流石のピラミッドも10億年は無理だろうからね、オーパーツの中に石ころを割ったら中からボルトが出て来たと言うのがあったが現代の鋼鉄では空気が遮断された岩の中でも10億年は無理だと思うな」

「やはり金製品かな、それとも進んだ科学力で作った素材の製品かな」

「多分、そんな処だろうな」

ケンと雄一郎の兄弟の会話を他のメンバーは只聞いていた。

暫くして佐紀がぽつりと言った。

「ダイヤモンドも変質し難いのじゃないかしら、金とダイヤモンドの装飾品か何か・・・其れとも考古学で言われているオリハルコンみたいな金属かも・・・」

「考古学学会の見解ではオリハルコンは青銅だとの事だったな」

「本当に青銅だったのかね、これがオリハルコンだと言う物は見つかってはいないからな」

「確かに、佐紀の言う通りダイヤモンドがどれ程の年月を形として維持出来るかは解っていない・・・」

「金などの鉱物は何千万年、何億年もの歳月の自然効果で生成された物だ、だがそれは酸素に触れる度合が低い土中での事だ、金でさえも長い年月、億の単位では形を完全に維持しないはずだ、それが我々の理論なのだ」

「となると、10億年後に発見された前文明の遺跡は科学技術の産物と言う事なのね」

「私はそえう思う、次回の面会の時に尋ねてみよう」

「そうね、そうしましょう」

「お父さん、処で、この船の名前がまだじゃ無い???」

「おぉ、そうだったな、何か考えたか、みんな」

「私はホープが良いわ」

「僕はヴァイオレット」

「私はフロンティア」

「お父さんは???」

「私は名前は長く無い方が良いと思う・・・リサだね」

「えぇ、リサじゃ、彼女と同じで彼女が困るわよ、お父さん」

「・・・う~ん、じゃあ、リ~サでどうだい」

「伸ばすのね、リ~サ、リ~サか、うん、気に入ったわ、リサはどう、気に入ってくれる」

「私の名前を付けて貰えてとても嬉しいです」

「決まりだな」

「決まりね」

「良し」

「リーサね」


「さて、それぞれの専門分野でこの機会を研究してみようか」

「了解、じゃ、佐紀ちゃん、研究室へ行こう」

「は~い」

「我々も研究室へ行こう」

ケンとジェニーが部屋を出て行った。

「さてと、我々もと言いたいが、私は少し疲れた、ルイ、申し訳無いが少し眠らせてもらうよ」

「はい、解りました、私は研究室にいますので起きたら来てください」

「解った」

二人も部屋を後にした。

ルイは雄一郎は眠りたいのでは無く、考える時間が欲しいのだと感じていた。

ルイの予想通りに雄一郎は自室に入るとベッドに横になり眼を閉じたが眠っている訳では無かった。

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早紀の宇宙大冒険 イミドス誠一 @imidosjp

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