第4話

それは11月の中頃学校の昼休みの時だった。

いつもみたいに猛とご飯を食べようと思い声をかけたところ部活の会議があると断られた。



1人で教室で昼ご飯を食べるのもなんだか気まずいから人がいない屋上でご飯を食べようとして教室を出て、廊下を歩いていたら猛の所属しているバスケットボール部のメンバーがいて頭に疑問符が浮かんだけど会議が終わったんだろうと思い特に気にせずに屋上へ向かった。



屋上へ上がる階段を登っていたら、ドアの向こうから声が聞こえてきた。



それは猛の野太い声と聞いたこともない綾の嬌声だった。



途端にその場にいるのが苦しくなり、僕は走り出した。



手すりが壊れかけの階段を駆け下り、薄汚いリノリウム廊下を頭にこびりついた幼馴染の声達を振り落とす様に全力で走った、僕は運動は苦手で自発的には体を動かさないけどこの時は、走らざるを得なかったんだ。

じゃないと、どうにかなってしまいそうだったから。



校舎裏まで走って肩で息をしながらそこにあるベンチに腰掛けた、熱い体とは逆にひんやりとしていて、それが脳にまで伝わったみたいで少し冷静になることができた。


そうか、猛と綾は付き合ってるのか、これはめでたい2人に後でおめでとうと言おう、僕が2人を邪魔してないかなって言って困らせてやろう、僕はそう思って、いや、自分はまるでどうもしていないと自己暗示をかけながら中身がグシャグシャになった弁当箱を開いた。


「母さん、しょっぱいよ」


涙を流しながら。














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終末のご予定は? シモジ ゲントウ @yoroshiku319

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