なぜ、いじめ被害者である彼は読者から共感されない主人公でなければならなかったのか。

 某所にて、いじめを題材と云うか、ちょっとしたスパイスくらいに含む作品を書いているのだけれど──。

 一体全体どうしてこんな共感されづらいいじめ被害者を主人公(のひとり)に仕立てたのか甚だ疑問だったのだけれど、件の作品、根底に高校時代に書いた原作があるもので。当時の各キャラクター設定のメモ書きなんぞ読めばわかるかもと思い、目を通してみた次第。

 でもって、そこにあった答えが中々にユニークだったのでここに晒す。

 なぜ、いじめ被害者である彼は読者から共感されない主人公でなければならなかったのか。


「いじめ被害者という立場に据えた時点で、作者はそのキャラに孤独であることを強いているのだから、ここでこのキャラに同情という読み手からの共感が集まってしまえば、その段階でこのキャラは孤独ではなくなってしまうので。このキャラに読み手がすんなり自身を投影できてしまったら、わざわざ孤独を与えた意味がない」


 ──まあ、何が狂気って当時の私は件の作品をノートに書き殴っていたので。どこにも公開していない(当然公開する予定もなかった)にもかかわらず、さも自分以外の読み手がいるかのようなメモ書きを残しているあたりが最高に狂気なのだけれど。


 ただ、云わんとしていることはわからないでもない。


 主要登場人物中ぶっちぎりで孤独であることを強いた人物なのだから、読み手から共感を得ることで間接的にぼっち卒業されてしまってはなるほど確かに破綻している──という気がする。


 いじめつながりで思い出したのだが、『LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶』のシナリオがマジで面白かった。既プレイ勢はもちろん、ゲーム実況なんぞ視てもらえればわかると思うのだけれど、実況者含めコメント欄の反応が結構割れる。

 一見すると荒れているように見えなくもないが、個人的にはあの反応すら予期した上で組まれたシナリオだと思う(一部プレイヤーが八神の"正論"に反感を覚えるからこそ、作品として盛り上がったのではないかと)。あれほど複数の思惑を錯綜させておいて、それでもプレイヤーの心に「いじめ、カッコ悪い。」というシンプル極まりないメッセージを残していく構成が美しい。いや、ホント香田ちゃんの最後の台詞が唯一不変のすべてなんよ。

 あとAdoさんの『螺旋』も良かった。発表当初は「有名どころなー」くらいの印象しかなかったのだけれど、エンディングテーマとして聴いたら紛うことなきテーマソングだった。

 今回はそんな感じ。後半ロスジャの話しかしてないけど、まあそんな日もある。

 ではまた~。

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