今日読んだ作品の感想を漫然と垂れ流すだけ

『メルカトルワールド』 作者 ドラ・焼キ

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054893730329


 前々から思っているのだけれど、作品から作者の人間性というか、"我"が見えない人だよなぁ──と。人によっては(真相はさておき)結構生活感にじみ出てる人いるじゃないですか(笑)あれはあれで魅力だとも思うんですけど。兎角フィクションとして隙が無い印象。

 こんな勧め方をすると作者様に怒られそうですが、どのエピソードから読んでも物語に"入る"のそれほど苦にならないんじゃないかなと。奇をてらおうとするあまり、すこぶる容貌と内面が乖離してるキャラクターがいるわけでもなし、「誰が敵で誰が味方か全くわからないぜ!」という不安定な状態が続くタイプのお話でもないので(個人的にはここが一番本作の舌を巻くところだと思っている。このキャラデザならそういう"魂"が吹き込まれているのだろうなというお約束をある程度踏襲しつつも隙が無いところ。小説に対する本気度が凄い)。

 ストック溜まった長編小説の目次を見た途端、「コレを一から読むのか──」と顔しかめてついつい回れ右しちゃうなんて方は思い切って中ほどから読んでみるのも一興かと。ぶっちゃけ売れてるマンガとかって前知識ナシで十巻くらいから読んでも面白いじゃないですか。そういうことですよ。


『ライブ・アバーヴ・スカイ』 作者 私は柴犬になりたい

 https://kakuyomu.jp/works/1177354055480845702


 作者はエモエモの実を食べたエモ人間だと思います。これTwitterでも云ったな。

 堂々と胸にクる、言語化し難いものを「エモ」のひとことで括ってしまうこと自体やや乱暴というか如何せん手抜き感は否めませんが、これほど「エモ」という言葉がバスコーイ当てはまる書き手もそういないでしょうし致し方なし。毎度毎度目の付けどころがエモいので、多分生きざまがエモいんだと思う。やったぜ。


『フラスコで飼う星の話。』 作者 五水井ラグ

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054880874098


 冒頭から「読解しなくてもいいタイプのヤツじゃん」と直感したそれ。文字列の上に目を滑らせているだけで何だか楽しい。

 このタイプの作品最大の強みは、読者の読解力がいかに低かろうと「なんかすげぇモン読んだわ」という印象を残せてしまうところ。とどのつまりがつよつよである(作者心としてはいや細かいところまで読めやというのが本音かもしれないが、正直小説に対する賛辞って「なんかすげぇモン読んだ」で充分過ぎると私は考えている)。徒にweb作家歴が長いだけの人間の戯言としてあまり真に受けないでほしいのだけれど、こういう文章を面に出せる人は兎角勇気がある人だというのが私の解釈(この勇気が足りないと漏れなく「説明しなきゃ症候群」に罹患する模様。かく云う私がそのタイプである)。あくまで経験則なのだけれど。 

 

『Answer』 作者 辰井圭斗

 https://kakuyomu.jp/works/16816410413891962597


 詩集や短編集って書店の本棚に似ていると思うのですよ。毎度のごとく妄言なので、適当に聞き(読み)流してくれたらこちらとしても気が楽なのだけれど。

 たとえば、書店に行ったとき本棚を見て「いや、この本の隣にこの本置くぅ?」みたく思うことってありません? 良くも悪くも。配列にそういう独創性が垣間見えると、親近感湧くと云うか、また足を運びたくなると云うか。

 短編集や詩集に対しても似たようなことが云えて、「ああ、次そういう感じでくるの?」みたいな。お手軽に不意をうたれるって楽しいですよね(我ながら中々のパワーワード)。あとこれはあまり共感してもらえないかもしれないのだけれど、この本が入っていることでこの棚が映える──っていう感覚わかりません? もっとわかりやすそうなところで云うなら「この作品が収録されていることで文集全体が引き締まる」みたいな、読み手ごとにそういう叩きやすい空白の多さも短編集や詩集の魅力だと思う。あんまりオープンにすると嫌われそうだから、自重するけども(笑)

 詩って一瞬一瞬を大事にしている人というより、一瞬一瞬を大事にし過ぎている人が書くものみたいな印象があって、読んでいると何だか危うい気持ちになることがままあるのだけれど、何かを削って生み出している人はカッコいいと思う。 

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