連鎖 『変容或いは死を願うこゝろ』

【作品情報】

『変容或いは死を願うこゝろ』 作者 縋 十夏

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054917529534


【紹介文】

 死など知ったこっちゃないのです。

 エッセイにでもしようかと思っていますが、今の所、メモ帳程度のものです。


 救いある物語を書きたいという決意に思うところがありまして。

 何分ここは小説投稿サイトですし、皆様それなりに読書は嗜まれていると思うのですが──たとえば、こんな経験ってありません? 税金に関する書籍を読んでいて「へぇ~、ローマ帝国って税金がきっかけで滅びたんだぁ。ローマの歴史なんか面白そうだし、ちょっと調べてみよう」とか、ジョージ・オーウェルの『1984年』を読んでいて「ああっ、村上春樹の『1Q84』ってコレの影響を受けた作品だったのか。そういえば、村上春樹の本って読んだことなかったな。読んでみよっかな」とか、良い意味で知識をそのまま受け取らない、新たな学びと創造を膨らませていけるじゃないですか。


 その理屈に基づけば、件のエッセイ既に誰かしらの救いになっているのではないかな──と。


 殊更真摯な人ほどありがちなのだけれど、ひとつの誓いに対して愚直になり過ぎると良くも悪くも周りの頑張りが見えにくくなってしまうことがあって。実際、あなたの書き連ねる希望のうちから、勝手に自分の支えとなるものを拾い上げて、自らの一部として。「私は、あなたの書いたものに救われました。どうもありがとう」と。勝手に元気になってゆく誰かはいるかもしれないし、あるいはもういたかもしれない。

 また──たとえ話で申し訳ないのだけれど、私らって心にグッとくる名言をいくつか知ってはいても、はたして誰の言葉だったか、どの書籍で目にしたものだったか、どうにも思い出せないときってありません? それと似たようなもので、あなたの綴った希望のうちのいくつかを「いいなぁ」と思った誰かがいたとして、その人が窮地に陥ったときふとそれを思い出して、逆境から再起するきっかけになったとして。

 もちろん、その人はあなたの書いた作品が立ち直るきっかけを与えてくれたなどとは到底思っていない、というより憶えていないのだけれど。その人のありがとうがあなたに届くことはないのだけれど。でも、いつかはこんなふうにあなたが書くと誓ったそれが、どこかで誰かの救いになり得るやもしれない。

 ──まあ、この考え方でゆくと世の文字情報大半誰かの希望になれる説が爆誕してしまうわけですが、それはそれで愉快な感じで良きじゃないかなぁと私は思います。

 あなたの書いた言葉に救いを見出した誰かがいて、その誰かの姿にまた別の誰かが心を奮い立たせて。そんな連鎖の発端にあなたとあなたの作品が在れるといいなって。


 これは、そんな希望の話。


 最後の最後で村の長老みたいなこと云うけど、「救いある物語、或いは誰かにとっての希望となるものを書きたく思います」と表明している人間が一人でもいる時点で、きたる明日は幾分明るいと思うよ。

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