小説の感想の書き方【小説を読まれたいあなたへ】

 結論から云うと「表現に寄り添うタイプの感想」なのだけれど、そこへ至るまでに色々話すよ。


「質問が偉人をつくる」という至言がございまして。


 偉人の名言と一口に云っても、当然それを発するまでの脈絡はあるよなぁ──と。

 たとえば孔子が残した名言の数々、アレなんてまさに弟子たちの質問あってこその"名言"じゃないですか。荒野あらのの誘惑でのキリストの答えだって、悪魔の誘惑──問いかけがあったからこその"答え"であって。むしろ、キリストの哲学をあそこまで端的な言葉で引き出すことのできた悪魔さんの手腕ヤバくね? 流石権力と繁栄を授ける権利握ってるだけはあるな。

 私も偶に──ごく稀にだけど(念入りに保険を掛けてゆくスタイル)「あっれ~? 姫乃さん何か今イイ感じのこと云ったんちゃぅ~ん?」みたく思うことがありまして。けれど、それとて思い返してみるとやっぱり他人との対話から生じているんだよね。

「よぉ~し、今からイイことを思いつくぞ~。妙案ひらめいちゃうぞぉ。よぉし! ──ヨォシッ!!」といくら内なるリトル只紫ただしに呼び掛けたところで、まあ限度はあるから(付け足しておくと、心理学者のスコット・バリー・カウフマンさんのレポートによれば「私はクリエイティブな人間になるんだーッ!!」と常日頃から自身に云い聞かせることである程度クリエイティブになれるよ、違った視点から物事を見られるようになるよというご意見もアリ)。

 他人とのコミュニケーションこそが最大の脳トレなんて云うけれど、ああこういうことなのかなーとちょっとわかりみ。日頃わたくしめに構ってくださる奇特な皆さま、本当にいつもありがとうございます。ありがたみの極み! 我愛尓!

 ──とまあ、雑な親愛と感謝の押し売りから始まったわけですが、兎角とかく的確な質問をする人ってカッコいいと思いません?

 

 結局、いい質問って相手が「喋りた~い!」と思っている内容から、こっちが関心のある事柄をチョイスして「そこんとこどうなんです?」って尋ねるのがイイ感じじゃないですか。


 コレは質問者が一方的に訊きたいこと訊く極端な例ですけど、たとえば応援コメントに「はじめまして。Twitterのアイコンを拝見しましたが、アレは飼い猫ですか?」とかね。「いや、それ今ここで訊く?!」みたいな。やめて~そんなのリプするか、最悪自己完結して~、もっと他のことに注意向けてこれからの人生歩んで~としか云えないヤツ。

 一方で回答者が「喋りた~い!」と思っている内容から、こっちが関心持てないことばっか訊いているとコレもうぐうの音も出ないほどヨイショだよね。掘り下げるにも限度があるし、いつかは「あっ、コイツさては興味ねぇな?」ってバレる日が来る。もちろんのし上がるための迎合として、これを要求される場面も少なからずあるのだけれど。

 だから──と繋げていいものなのか、どうせ感想書くならその人に好かれたいじゃない? 良い目のつけどころだねって思ってほしいし、気分良く返信してほしいじゃない? そんな思いからなろうで活動していた時分、私がよく使っていた感想の書き方があって。

  

 それが、冒頭で挙げた「表現に寄り添うタイプの感想」にござい。


 コレ初期只紫(誰だよ初期只紫って)に感想書かれたことのある方は身に覚えあるかもしれないのだけれど、「この表現素敵ですね~」で終わらずに「この表現思いつくのに難儀したでしょう?」とか「ここのシーン書くの一番気合い入れたんじゃないですか?」とか、そういう具合に仮説込みの感想を書くんですよ。


 コレの良いところが、リスペクト前提であればたとえその仮説が間違っていても悪印象与えないどころか、むしろ感想読んだ作者側が「そう云われると、私あのシーン頑張って書いたかも」「あのセリフお気に入りかも」と思い当たる節を後付けで構築することさえあるので。


 どうせ感想書くなら好かれたいよねー、一目置かれたいよねー、創作友だち増やしたいよねーと思っている方なんかにはオススメ。

 で、滅多に感想書かなくなった今になってどうしてこんなことを書いているのかというと、先日──どの作品で見かけたかはまあ伏せるとして、連載小説の第一話に対する感想とかでよくあるじゃないですか?


 もう、どの角度から見ても社交辞令にしか見えないコメント。


 あのね、偽装しようとする努力が垣間見えてるならいいんですよ? 私もどうしたって偽装はするから。ただ、偽装の気配さえ感じられないというか、「お前、それはいくら何でもヘタクソ過ぎひん?」というか、逆に何故そのコメントを残そうと思ったの? それ書くくらいだったらいっそ何も書かないか、「アイコン飼い猫ですかー?」って訊く方がまだマシだよ? まだあなたとあなたの作品に興味持てたよ? 社交辞令って社交辞令だと思われないことが大切だから。

 ──うん、そんなわけで長々と書きはしたけれど、こういうサイトにいる以上はね、自分の作品読んでほしいんだろうし、小説書くのも多少は巧くなりたいんだと思うよ? ただ、小説が巧くなる以上に大事なことって世の中たくさんあるから。

 特に自分の作品誰かに読んでほしくて仕方がないですぅ~っていう人ほど、小説の書き方──とかではなく、まず人の気持ちを知るところから始めよう。ばいばい。

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