これを読んでいるあなただって、いつまでも"ここ"にいるわけじゃあないだろう。
二〇一一年末になろうを離れ、昨年カクヨムにやってきた──ヒメノムラサキから姫乃只紫へと転生(ちょっとだけ「強くてニューゲーム」)した
母数の多さゆえ人間関係に多少ややこしいところはあれど、居心地が悪いというほどではなかったし、懇意にしているユーザさんだって、自作の更新を楽しみにしてくれている読者だってそれなりにいた。サイレント読者ではなく、目に見えていた。
それでも──消えたのである。もう一度云うが、虚勢でも何でもなくフェードアウトした具体的理由はこれといって見当たらない。
だから、今度はいつ頃消えるのだろう──と。
いつ消えようかではなく、自身の意思とは無関係にいつフェードアウトしてしまうのかなと考えることがままある。この年になって、新しいことに一つでも多くチャレンジしなければ──と日々努めている(と思い込もうとしている)と余計にそう思う。「これに割いている時間って本当に有意義なのかな?」「この時間は人生の積み立てになっているのかな?」とかね。
とはいえ、そのように考えてはいても、別段悲観的な心境に陥っているというわけでもなく。
そもそも本当に近々消えるかもしれないなどと懸念している人間が、こんなエッセイを書くわけがない。多分。
まあ、仮に悲しみの
もしかしたらああなるかも、こうなるかもなどと、そこそこ不安を抱えていた方が案外堅実に歩めたりする。実際人は気落ちしているときほど分析能力が高まるという説もあり、悲しんでいるときの方が意外と他人の嘘に気付きやすかったりする。
さきほど「これに割いている時間って本当に有意義なのかな?」と自身(と読者)に問うてみたが、これに関してはもう有意義以外の何ものでもない。書くことで頭の中が整理されるし、自分が何に重きを置いているのか──自身の価値観を再認識できるし、心理学的見地から「書くことが癒しに繋がる」ことは証明されているし、そもそもこのエッセイは教えるつもり勉強法を兼ねているので。
私は、胸を張って今この時間が有意義であると断言できる。
小説を読むことだって、決して無意義な時間などではない。小難しい文学作品は読者の認知的完結欲求を下げる(つまり「物事は白か黒のどっちかでないとダメ!」ではなく「云うてグレーもあるよね」と曖昧なものに対して理解を示せるようになる)と云われているし、『ワーズワース詩集』のような小難しい詩集は、読者の脳の柔軟性を高めるとされている。というか、そもそも語彙増えるだけでメンタル強くなるのが人間なので。一つの物事に対する解釈の仕方が増えれば増えるほど、メンタル安定するのが人間なので。
そういう意味では「小説やエッセイを書くのが趣味です!」なんて人、今の時世大勢いるけどこれほどメリットに恵まれた趣味もそうそうないのではないかなぁ──なんて思う。
これを読んでいるあなただって、いつまでもここにいるわけじゃあないだろう。
確固たる意思のもと退会するのやもしれないし、いつぞやの私みたくこれといった理由もなしに作品は置き去りにしたまま
私はなろうを離れたとき、社会人デビューして多忙になったからweb作家活動をやめたのだ──と思い込んできたが、それは後付けしたいかにもそれらしい理由で、本当のところはただ習慣が途切れただけなのだろう。
そう考えると「筆を折る」なんて大層な言葉があるが、あれも所詮ひょんなことから習慣が途切れたに過ぎないのではなかろうか。
これに対して異を唱える者も少なからずいるだろうが、何やら「自分は複雑なんだ。単純じゃない」「そう簡単に理解されてたまるか」などというくっそつまらないプライドめいたものを感じなくもない。別にそんな必死こいた自分複雑ですアピールなんかせずとも、自称物書き連中に限らず人は皆複雑であることくらいこちとら百も承知している。
ただ、誰より複雑でありたいと願うこと自体悪いことではない。
SNSの創作アカウントざっと見てみろ。どいつもこいつも複雑気取りたがりのナルシスト傾向や神経症的傾向高そうなヤツらが大概ぞ(それ以上いけない)?
まあ、それが居心地良いと思っているから、私はここにいるのだけれど。イイんじゃない? ナルシスト傾向高そうとか、神経症的傾向高そうとか、いかにも物書きって感じするじゃん。
だから──もうしばらくはこの界隈に浸らせておくれ。でもって片手間に構っておくれ。
もしかしたらこっちがだらだらと生きながらえているうちに、カクヨム様の方が息絶えるかもしれんしな。そんときは諸手を挙げて「生き抜いたったぞ」って宣言してくれるわ。
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