オリジナリティの話【ブルー・オーシャンへ行きたいか】
自己肯定感の勉強をしていて、色々と思い当たる節があったのでつらつらと。「自己肯定感って何ぞ?」という人は流石に少数派だと思うのですが、一応ざくっと説明しておくとまあ今ある自分を価値ある存在として受け入れられることみたいな、そんな感じにござい。
この自己肯定感を脅かすものって、大別すると過去と比較の二大巨頭であると云われておりまして。過去は「ああ、あのときああしていれば今頃はきっとなぁ」みたいな感じで、比較は「あの人はあんなに上手くいってるのに、それに比べて私はなんてちっぽけなんだろう」みたいな感じだよね。
で、この比較の方なんだけど、私二〇〇九年にweb小説家デビューして初めて投稿したのが『ERAZER ──薄氷の花傘──』(当時はタイトル違ったけども)で、その翌年に投稿したのが『僕と千影と時々オバケ』なんだよね。当時は若さゆえと云うべきか、恥ずかしながら自分にしか表現できない世界観を描きたいとか、オンリーワンになりたいとか、そういうピュアな欲求を胸にね、キーボードを叩いておったわけなんですけども。
今になって思い返せば、あの姿勢は自己肯定感を守るのに一役買ってくれていたのかなって。
たとえばの話、私がハーレム系ラブコメを書いていたとするじゃないですか。そしたら間違いなく似たような作風──ハーレム系ラブコメの人気の推移が気になって仕方ないと思うんですよ。
ランキング上位に君臨するハーレム系ラブコメとか見て、「コイツ何かやらかして失墜しねぇかな~。作者炎上しねぇかな~」とかデスク指でトントンしつつ呪詛唱えてると思うんですよ。書籍化されたハーレム系ラブコメを見て「いやいやコレ自分の今書いてるヤツと設定の類似点多過ぎね? っつーことはスポットライトに照らされるタイミングさえ違えば、むしろ俺のがそっち側だったんじゃね? クソがぁッ!!」とか吠えつつ、手に取ったそいつを床に叩きつけているやもしれない。
だからね、オリジナリティで勝負したいって思いもなくはなかったんだろうけど、無意識下で比較と競争のない世界に行きたかったんじゃないかなって。
今考えればね? 『ERAZER ──薄氷の花傘──』は云わずもがなとして、『僕と千影と時々オバケ』なんてアレ一人称か三人称一視点で書いてみ? そこらへんに似通った作品ゴロゴロしてるぜ?
ゆえに、私はあの"視点"を選択したんじゃないかなって。自己肯定感を保ちたい。比較と競争のない世界に旅立ちたい。ブルーオーシャンを勝手気ままに泳ぎ回りたい──みたいなね。
私にしか表現できないものを目指すっていう姿勢が百パーセント良いかどうかは別にして、そういう考え方と自己肯定感って少なからずリンクしてる部分はあるよなーと。
あとねー、やたらと独創性を重視する自身の傾向に関しては、単純に「とにかくわかりづらいモノを書きたい」っていうのがあった。もはや「誰にもわかられてたまるか。ワールドイズマイン!」みたいな。これについては今なおあるよねーと云い切っちゃってもいいのだけれど。
私、大学生だった頃、嶽本野ばら先生の作品がすっごい好きで、先生の作品きっかけで川久保玲さんっていうファッションデザイナーを知ったのね。で、その方が『Vogue』っていうファッション誌で自分のコレクションが褒めに褒められたとき、のちのインタビューでこう答えてるのよ。
「そんなに解りやすいものを作ってしまったかと不安になります」
──これなぁー、テメェごときが共感すんなってそこそこゴッツイ石投げられることを覚悟の上で云うけど、この言葉は当時ホントに刺さった。実際ありません? 自作がすごい高く評価されたとき「皆ありがとー。愛してるよー!」って満面の笑みで手を振る一方、多過ぎる理解者の数に「ンな万人受けする話書いたぁ?」って若干沈むとき。いや、なければないで全然いいんだけどさ。
ただ、これって個性に苦しむ全ての創作者の支えになり得る言葉だよなって、少なくとも私は思ったし、今でも心底思ってる。私は私にしかわからねぇもの書いていいんだって、書きたいと思っていいんだって、何だか胸が軽くなったような心地がした。
あっ、ちなみに私某所で応援の通知切ってるって書いたんですけど、アレ理由としてはね。ほら、カクヨムってブックマークバーに表示されてると右上に赤ポッチつくじゃないですか? あれがはっきり云って鬱陶しいなーって。
というのも、たとえば私が何かしら確固たる目的をもってネットにアクセスしたとするじゃない? すると、アイツがね。あの赤ポッチが一瞬──それでも軽視できないレベルの亀裂を私の意思力と集中力に走らせるわけ。云うてブックマークバーから外すのはただ手間が増えるだけじゃない?
だから、オフにしました。以上。
とはいえ、応援コメントとレビューコメントの通知はオンにしてる(なので現状誰が星を入れたかも調べようとしない限りはわからない仕様になっております)し、通知がそれのみに絞られているからこそ、赤ポッチが点いたときの感慨もひとしおなので。
まあ、そういう人なんだなーとご理解いただいた上で、もし良ければ今後とも仲良くしてねって感じにござい。長くなってごめんね~。ではまた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます