【記憶の宮殿】物書きが無意識にやっていそうな記憶術
小説を書くのが趣味あるいは
──はい、これだけだとあまりに説明不足というか、錯乱したと思われかねないので補足致しますと、見聞きした情報を頭の中で整理するとき「妖怪学の担当はあなた! で、心理学の担当はお前で、芸術の担当はキミね!」みたいな感じで記憶の役割分担をしてくの。
記憶を定着させる上で大事なことって、すでに頭の中にある情報とどれだけ接点を作れるかじゃないですか。エピソード記憶が頭に残りやすいって話はすでに多くの方がご存知でしょうが、たとえば「昨日晩御飯何食べた?」って訊かれるとつかの間「──うん?」ってなりますけど、「昨日誰と晩御飯食べた?」「昨日どこで晩御飯食べた?」って訊かれたら「ああ、そういえば」ってなりません? 「晩御飯」という単一の情報だけを思い出そうとすると戸惑うけど、そこに「誰と」「どこで」みたいな情報が追加されれば比較的思い出しやすくなる。
だったら、小説を書くのが趣味もしくは生業の人っていっそ自キャラに憶えてもらったらいいんじゃない?
「すでに頭の中にある情報」として自キャラってうってつけじゃない? などと思ってみたり。
記憶のテクとして有名な「記憶の宮殿」が自分にとって馴染みのある場所をイメージして、そこに憶えたい内容を配置してゆく──というやり方なので、何かしら似たものを感じる。
ただ、この憶え方に慣れてくると自分の苦手分野が浮き彫りになるよね。私、未だに数学得意なキャラ書いたことないし、書こうと思ったことさえないもの。ただ、数学の歴史とか、数学者のエピソードなんかは好き。フェルマーの最終定理が解けるまでの道のりとか、ラヌマジャンの何故かπ無限に云えるとか、定理発見がモーニングルーティンみたいな話はメッチャ好き。
あとこの分野と云えばこのキャラ──という役割分担を行うことで、記憶術としてではなく小説としてみたとき、"出木杉くん"を作らないって意味でも多少は使えるんじゃないかなーって思った。
それがリアリティあるかって云われたら何ともだけど。物語によっては"出木杉くん"がいることでより面白いものもあるわけだしね。
私はこれ記憶術としてそんなに悪くないよなーと思って使っているのだけれど、考えてみるとバットマン効果に近いものもあるのかも。バットマン効果っていうのは、自分のお気に入りのキャラになりきることで集中力や自己コントロール能力が増しますよ的なお話。私のキャラはこの手の分野に精通しているのだから、この情報を憶えられないはずがない、この問題を解けないはずがない──みたいなね。自分を詩人だと思い込むだけでアイデアマンになれるというクリエイティブステレオタイプ効果なるものもあるので、なりきりはあながちバカにはできない。
だからもし小説書くのを止めてしまったとしても、頭の中にいる自キャラたちは無碍にしない方が良さそう。
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