【なろう】なぜ僕らは(読んだこともない)なろう系を平然とブッ叩けるのか
前回のおさらい。作品をまともに読んだことがない層までPR要員として獲得できたなろう系、実は結構盤石なコンテンツなのでは? 以上。
まずは
これを嫌儲バイアスと云って、人間はその企業がどんな活動をしていようが、実際に儲けているとかいないとか関係なしに「なんか儲けに繋がってそう」という雰囲気を感じ取ったその瞬間から反感に近い感情を覚えてしまう生き物なのです。
ちなみにこの嫌儲バイアス、「どうせ貧乏人のやっかみでしょ?」などと誤解されがちなのですが、実際には経済的格差や政治的な立場関係なく起こり得るものだそうで。日本人は殊更この傾向が強いんじゃね? と云われております。
さて、このバイアスがなろう系の「なんとなくディスってもいいよ」という空気感にどう関わってくるのかなんですが──。なろう系の批判でこういうのよく見ません? なろう系は目先の売り上げに固執した出版社のゴリ推しだーとか、そんなものに囚われているラノベ業界に未来はない──とかなんとか。
──うん、叩きやすい空気感の正体ってまさにコレなんじゃないかって。なろう系ってさ、もはやネタにして叩く側からしたら作品として捉えられていない、読むモノとしてすら認識されていないんだよ。
出版社がただただ営利のみを追求して推してるコンテンツなんだから読むまでもないでしょ? 叩かれて当然でしょ? という位置づけなんだよね。
これが「作品を読んだことのないPR要員」という斬新な層を生んでしまったんじゃないかと。なろう系を批判するってことは、一個人の創作を批判するというより出版業界のやり方を批判するって方向に繋がってくるから、その分罪悪感も湧きづらいと思うんだよね。叩いた側が正義になれる。だから、誰しもが軽いノリでPR要員になれてしまう。
一見この叩きやすい空気感ってコンテンツとしてデメリットなんじゃないかって受け取られがちなんだけど、私は存在を知ってもらうって意味ではそうとも云えないよーと思っていて。なんならこの叩きやすい空気感になろう系が守られている現状もラノベ業界が意図して保ってるんじゃないか、なんなら仕掛けたんじゃないかとさえ考えているわけで。
なろう系ってさ、ホントにコンテンツを支える土台が多様なのよ。たとえば──前回同様名前を上げて大変申し訳ないのだけれど、クソラノベレビューVチューバーの幽焼けさんね。私もそのレビューを楽しんで観ている一人なのだけれど、アレ何が楽しいって、ヒジョ~に言葉は悪いのだけれど「次はどんなクソラノベに出会えるんだろう」「これを超えるクソラノベが現れるんだろうか」っていう謎のワクワク感があるんだよね。
つまりね、作品として面白いとか面白くないとか、もはやそういう次元じゃないんだ。ただただネタにして誹謗中傷してやろうぜというのともまた違うんだ。私も含む一部の層から、すでに新しい楽しみ方を見出されちゃってるんだ。
「面白くないのが一周回って面白くね?」っていう斬新なファン層まで生んじゃってるんだよ。
加えて土台と云えばもう一つ、こういうこれまでの常識とはちょっと違うぞ、なんなら一部の人達から反感を買いそうだぞ、みたいなコンテンツが流行りだしたとき必ず現れるのが──そうだね、今の私みたいなヤツだね。
なぜ○○は○○なのか系の批評だよ。なぜなろう系は売れるのか? なぜヘイトを買いがちなのか? そういう批評に目を通したことがあるって人、小説投稿サイトで活動しているんなら少なからずいるとは思う。こういう批評だって「なろう系って何?」って興味を世に浸透させる上では一役買ってるわけだからね(あくまで主観だけど、PR要員としてある意味一番貢献してるのってこの層な気がする。と云うのも議論が生まれやすい場所に人って集まりやすいので。事実Twitterでバズる方法のひとつとして「議論が起こりやすいツイートをする」というのがあったりする。堀江貴文さんがよくやってるイメージ)。
そう考えると、このコンテンツ土台が強過ぎない? 縁の下の力持ちっていうけど縁の下に人多過ぎない? だから──このブームが落ち着くときって、これを心から楽しいと思って読んでる層がぱったりいなくなるとか、出版業界がある日突然方針を改めるとか、そういうときじゃなくてさ。
案外図らずも(かどうかは何とも云えんけど)土台になっていた人たちが「もう飽きた」「ネタ切れだわ」「あっちのコンテンツの方が扱いやすそうじゃね?」とか、何かしら理由をつけて離れるときなんじゃないのって私は思ってる。
この辺りの流れはなんと云うか、やや同人ゴロを彷彿とさせるところがあるよね(同人ゴロって何ぞ? という方はググってどうぞ)。ちなみに私自身は現状のなろう系ブームに関して、物書きの立場から見れば衰退を望む声もわからなくはないけど──エゴを切り離して考えたら普通に流行っててよくない? というのが正直な感想でして。
前にも云ったように私にとって文章を書くことって基本勉強であり、メンタル強化であり、小銭を稼ぐ手段に過ぎないんよね。
だから、上手い下手を問わず物を書く人口が増えるってことは世の中にとってプラスだと思うし、なろう系を好きだって云う人の中には多分だけど「これなら自分でも書けそう!」って判断して小説やらを書き始める人っていると思うんですよ。
そういう広めの視野で見るとさ、何も衰退を望むほどではなくね? とか考えてしまうわけ。
あと、なろう系を語る批評にありがちな論調で、やたら出版業界に変化を求める人いるけどさ。うん、気持ちはわかるよ? 外に変化を求めるのってこうね、情報として耳ざわりが優しいから。書く側から見ればなおのこと。
だから──わかるんだけど、本当に変わるのは出版業界だけでいいのって私は思っちゃう。
これは作家が業界の売りたいモノに合わせろとか、そういうことを云いたいんじゃなくて、作家側がもっと自分の作品の売り方を工夫すべき時代がやってきてるんじゃないのってこと。SNSって何のためにあるの? 電子書籍の無料セルフ出版サービスって何のためにあるの? えっ、表紙を描いてくれる絵師がいない? クラウドソーシングサイトって何のためにあるの? 多分──そういうことなんじゃないかなって。
とまあ別段出版業界の未来に関心もないくせに、なろう系について長々と書いたわけですが──いかがでしたか(いかがでしたか系クソブログ止めろ)? 流石にエッセイ回続け過ぎたので次回以降は平常運転、おすすめ作品集としてあるべき形に戻ると思われ。読んで面白いと思ったらフォロー、高評価をお願いいたします(云ってみたかっただけ)。チャオ!
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