嘘の中の嘘

烏神まこと(かみ まこと)

1

 バジルと名乗る男が異空間に閉じ込められるのは、これで二度目だった。前回と同じく、いつの間にか知らない場所に知らない人々と閉じ込められている。


(二度目があったら三度目もあるじゃん。やだなぁ)


 まだここから出られてもいないのに先のことを考え、バジルは心の中で不満を漏らす。


(まあでも、前回と同じメンバーじゃなくてヨカッタヨカッタ)


 見渡しても目を凝らしても、そこにいるのは、前回居なかった男たちだ。バジルは最初の異空間を共に脱し、その後偶然再会した無駄に人懐っこい年下の男を思い出していた。

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