上に行くにも限界がある、下に行くにも限界がある
いありきうらか
上に行くにも限界がある、下に行くにも限界がある
どこかで自分の能力の限界に気づく。
それが、中学生なのか、大人になってからなのかは人による。
ただ、どこかで自分は世界の中心ではない、と気づく瞬間が来る。
どんなに頑張っても倒せない相手がいる。
明らかに自分より能力の高い人間がいる。
人生を既に5周しているんじゃないかと思わされるほどの差に打ちのめされる。
それでもどこかで妥協して、納得して生きるしかない。
極端な話、人生に勝ち負けなんてない。
所詮、強い奴が決めたルールの中で、弱いと判断されただけだ。
多くの人は自分が恵まれていない人間だと思っている。
でも、下には下がいる。
「先月、これくらいしか給料がなかった」
「借金がこれくらいある」
「小さい頃から酷い目にあってきた」
「俺の方がもらっている給料が少ない」
「そんなことで不幸ぶるな、俺なんて」
「世界にはもっと恵まれていない人がいる、甘えるな」
顔も声も知らない人との争い、競争。
顔も声も聞き飽きた人との争い、競争。
ルールから逸脱すれば後ろ指を刺される。
ルールを作れば、「あいつは変わった」と罵られる。
幸せな奴は蜘蛛の糸ごとゾンビに、闇に引きずられる。
毎日絶望を克服して生きている。
貪欲に性行為に励んで、性欲の結晶が生まれる。
性欲の塊を、夢や希望に置き換えて糧とする。
塊は反抗期を経て、やがて親に感謝する。
「こんなクソみたいな世界に産んでくれてありがとう」
その言葉はガンとなって、両親を蝕んだ。
糖尿病と心不全が死神と魂を連れて行った。
死んだ先でも神様に納税します。
地獄では毎日囚人に叩き起こされます。
上も下も管理されていることには変わらない。
どこで満足しようが、何を成し遂げようが、最後は墓。
上には上がいるし、下には下がいる。
上に行くにも限界がある、下に行くにも限界がある いありきうらか @iarikiuraka
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