カスITuber

革命家

第1話 有名になりたい。

「12…7…53…140!10…8…204!3…」


17歳の矢嶋太郎は今、今までITubeに投稿してきた自分の動画の再生回数を確認している。


「あー!有名になってお金稼ぎたいよー!みんな俺の動画見ろよ!面白いのに。」

彼はパソコンの前でこんな独り言をずっと呟いている。


ふと、時計を見ると深夜の1時。

「明日も学校だし、もう寝るか。」



そして起きたら9時。

「え…遅刻やん…」

彼は叫び走りながら階段をおり、

「なんで起こしてくれへんねん!」

と言い放ちお母さんをシバいた。

しかし、この矢嶋家のファミリーカーストは母>父>姉>太郎>弟であって、自分がお母さんをシバいたらどうなるかを自分自身が1番よく分かっていた…


AM9:30

太郎はボコボコの顔で彼の通う鶴野浜高校へ向かった。


「よぉ!お前も遅刻か!」


後ろから聞き覚えのある声がする。


「うわ!りゅうじやん!なんでお前遅刻してんねん!」


そう、彼は太郎のITuber仲間兼ライバルのりゅうじである。そして太郎の返事にりゅうじはこう答えた。


「いやぁ昨日ITubeに投稿した動画が伸びるか楽しみで全然眠れなかったんだわ。」


「へぇ、何出したの?」


「『犬のう〇こ逆再生』っての出したよ。」


(え、それやばくないか?まぁどうせ伸びないだろうし好きにやらせるか。)


「へぇ!いいじゃん!」


太郎はなんのひねりもない愛想返事をかました。そんなこんな話していたら学校に着き、案の定怒られたのだった。


PM1:45

「えーっと、5時間目何?」

「世界史」

「6は?」

「英語表現」

「もーばかめんどいや〜ん…帰りた〜い。」


そんなたわいのない会話をしている俺達の昼休み。


急にりゅうじが立ち上がり、指を指してこう言う。


「恵美ちゃん可愛いなぁ。」


(おや、気持ち悪いね。)ザワザワ


クラスがざわつく。


りゅうじという人間は『気持ち悪い』で名が通っている。この与えられた称号にプライドを持ってしまったりゅうじは、去年から『気持ち悪い』を突き通すと心に決めたのだった。


すると、りゅうじに指を指された恵美ちゃんは軽蔑の目でりゅうじを睨む。そしてりゅうじは苦笑いでゆっくりと座った。


「いやぁ、恵美ちゃん可愛すぎる。ITube始めたら絶対人気出るよあれ。プロデュースしてあげちゃおっかな。」


(やばい………)


「だまれよぉー!!!何がプロデュースだ!舐めた事言ってんちゃうぞ!?!?」


ここで恵美ちゃんガチ勢のけいすけがりゅうじの胸ぐらを掴み怒鳴った。


そんな昼休み。


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カスITuber 革命家 @kakumeika

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