いざこざ

yoshitora yoshitora

いざこざ

 地球に危機が訪れたので、宇宙へ逃れることになったわけです。

 宇宙船に乗れるのは限られた特別な人たちだけでした。

 宇宙船は飛び立ち、地球に残された人々は滅びました。

 宇宙船内では新たな問題が起こりました。

 特別な人たちは自身を主張し合い、悶着が収まらなかったのです。血が流れ、このままでは人々が死に絶えてしまう。

 これを憂いた宇宙船のスーパーコンピュータは、特別な中でも普通の人たちを残し、特に特別な人たちを宇宙に放り出しました。問題は解決しました。

 危機が収まり、人々は地球に戻ってきました。

 しばらくしてまた災厄が起こりました。

 宇宙船には不備も出始めていたので、全員は宇宙に逃げられません。特別な人だけが宇宙に逃れました。

 そしてまたあの同じ問題が起こり、一部の特別に特別な人たちが船外の氷の空気のなかに放り出されました。

 宇宙船は地球に戻ってきました。災厄が小康状態のうちに、燃料を補給しなければなりません。

 宇宙船はもう疲れ果てていました。わずかな特別な人間だけが宇宙へ逃れます。

 そして当然に宇宙の塵が少し増え、人の数が減ります。

 宇宙船は地上に着陸しました。船も地表も乗組員もぼろぼろでした。

 残った人たちが口論を始めました。宇宙での船上でスーパーコンピュータが見た光景と同じです。

 宇宙船は軋むエンジンにターボをかけながら、誰も乗っていない船体を宇宙に向けて飛び上がりました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いざこざ yoshitora yoshitora @yoshitora_yoshitora

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ