いじめの無くし方
金星人
いじめの無くし方
「この間のテスト返却するぞー」
「えぇーっ!!?」
今日は新学期早々に行われたテストの返却日。その1つにこんな問題があった。
「電気分解において、陽極または陰極で変化する物質の物質量は流れた電気量Cに比例し、一定電気量のもとでは、イオンの種類に関係なくそのイオンの価数に反比例する。
Q. (価数)×( 1 )=(定数) (但しCは一定)
空欄( 1 )に当てはまる言葉を以下から選べ。
イ. 物質量
ロ. イオンの価数
ハ. 物質
ニ. 電気量 」
テストを返された男の子三人組が点数を見せ合っていた。するとA君が尋ねた。
「この問題答えなんなの?よく分かんなかったんだけど」
「電気分解の?あれ文章に答え書いてあるじゃん。」
「ほら、ここだよ」
「はぁ…やっぱり分からん」
「まぁ、良いじゃん。お前が最高点なんだし。」
A君を含む三人組は趣味が合うことで最初の頃は仲良くしていた。しかし日常生活でも二人がA君に話してもこのようなやり取りがしばしばあった。
「ねぇ、さっき皆笑ってたのどういうこと?」
「え?だからさっき言ったじゃん。これはそういう意味だって。」
「なんでもっとちゃんと教えてくれないんだよ、ケチ。」
「いや、これ以上説明の仕様がないよ。なぁ?」
「あぁ、なんで分かんないの…」
段々とA君はこの二人から無視されるようになっていった。酷いときはA君が話しかけると
「しつこいんだよ、どっか行け!!」
「怒ったって無駄だよ、俺らが何言ってるかもどうせ理解してねぇよアイツ。」
「そうだな。ハハハっ」
などと嫌がらせを言う程に。
それだけではとどまらずそのことを二人が知らせていくとクラスの皆がそれに加担するようになった。
ある日、担任がA君の様子がおかしいことに気づき相談にのると彼は泣きながらこう言った。
「皆に…いじめられてるんです…」
「え…?誰が?誰が一番酷いことをするの?」
「あの二人か。分かった、よく言ってくれたね。あとはこっちが何とかするから。」
後日、二人はその指導として無期限の謹慎が課せられ、クラスメイトには反省文4枚を書くように言い渡された。
「皆、反省文に書いたことをこれからも守るんだぞ?このクラスはまだまだ続くんだから。今後こんなことが無いように。」
すると先生は何人かがA君に声をかけてくれているところを見かけた。
「ごめんねA君。嫌なことあったら相談のるから。」
「あぁ、有り難う。」
しかしA君への「イジメ」は無くならなかった。
果たして、誰が悪いのか?
いじめの無くし方 金星人 @kinseijin-ltesd
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます