完)半年後

 あれから、深歌たちは無事に再婚したという。

 

 オレのクラスも、新しい年度を迎えた。

 入学式を終え、一人の女子生徒がオレの側に駆け寄ってくる。


「えへへ。今日からよろしくね」


 高校進学を選ばず、華撫はオレの教える学校へ入った。母と同じベースを習いに。

 やはり、家庭に落ち着くようなタマではなかった。



「一から楽器を学ぶようなもんだ。大変だぞ」



 いくら半年間、みっちりオレの家で訓練したとはいえ、まだ荒削りなところが多い。




「覚悟してるわ。もし、あたしが卒業までにベースをマスターできたら」


 愛の告白でもしているかのように、華撫はモジモジと身体を揺らしながら告げる。


「なんだよ?」と声をかけた。


 華撫は、ニッと笑う。


「一緒に、バンド組んでね」

 

 大歓迎だ。それまで、みっちり叩き込んでやる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ヴァージンロードに特撮ソングを 椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞 @meshitero2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ