吐き気または家庭的な

韮崎旭

吐き気または家庭的な

菜園には嫌悪感が満ちているそれは我々が捨てきれなかった獣性

菜園から切り出されたとまともジャガイモも待っている断頭台

居候した方解石のシバンムシの標本と、骨だけを食べるキノコの冥界

原始的に、たとえばしかしそのさきで待たない、殺人の原稿

菜園にはごみが満ちている食事をすることのグロテスクさに堪えられないので吐いてしまう


いつだったか人間のすることのほとんどは嘔吐だ何も分解できない我々の脆弱な消化器官は脳裡ささめく木漏れ日を皆殺しにした血の海で沐浴する午後に


あなたの死産を祝って紅茶を

あなたの死亡を祝って草花を


殺したはずの人格が笑うことのない絵の額縁に信じられない!と言った様子のご婦人方をスコップなどで殴殺やはり人間は手に負えない野獣だから死ねばいいのに

すべての店がシャッターを下ろす夜中に目を覚ましても

死ねば楽だった吐き気をこらえながら抗うつ薬をもう処方量も忘れた薬を山ほどそうだ山ほど

脳を浸せばだれも思い出せないぜハッピーエンドだ その嫌悪感を投げ売りする自己犠牲

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吐き気または家庭的な 韮崎旭 @nakaimaizumi

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