貴方の笑顔(彼女視点)

私と貴方が結婚した日、人生で一番幸せだった日。


私は本当に幸せだった。大好きな人と一緒になれたから。


けれど、貴方に、だんだん違和感を感じていった。


初めて、そう思ったのは、あの時だった。



私が料理をしていた時。野菜を切っていた私は、違うものも切るために冷蔵庫に取りに行こうとした。そうして、振り返った時、貴方は私に向かってナイフを向けていた。


「きゃぁっ!!」


私は思わず叫んだ。


「あっははー! カワイイなぁ」

「……な、何してるの……?」

「ごめんごめんー、ちょっと驚かせたくてさ!」


驚かす……? 私は涙目になっていた。



あの時から、違和感を感じていた。そのはずなのに。気のせいかもって少しでも、私は思ってしまった。あの時、あの時……。


「ねぇ」

「い、いやっ」


「待って、どうして逃げるの?」

「こ、来ないでっ!!」


「もっと顔を恐怖に引きつらせて泣いてよ」

「や、いや、やめて、お願いだから」


「僕、まだちゃんと君の泣き顔、見れてないんだからさ」

「いやああぁぁぁぁっっっ!!!」


ナイフが近づいてくるのが見えて、私はそこで意識が途切れた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君の涙 BULLETandARROW @mikadukirui

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ