たぐさぎ

 最近何度かアオサギに出会った。

 今まで見かけてもこの鳥の名前が分からなかったためあまり印象に残っていなかったのだが、名前を知った途端、見かけると印象に残るようになった。


 記憶ってそんなものだ。知らないことについての情報は、得ていたとしても得たことにすら気づかず忘れる。知った後は、知っているままだ。


 最近カメラを手に入れて鳥の写真を撮るようになり、近所で出会った鳥たちの名前を調べ、けっこう一気に名前を覚えた。

 今まで彼女らの存在をまったく知らなかったということがなんだかすごい。



 アオサギってハシビロコウみたいだなぁ。



 ところでこの「うだつの上がらないエッセイ集」はたぐさぎである。


 ……タグ詐欺である。



 タグに「楽器」と「オカルト」が入っているのに楽器とオカルトの要素がほぼない。一体私は何を書こうとしていたんだろう。どこに向かうつもりだったんだろう。エッセイ集に問いかけてみても、答えは返ってこない。


 記憶ってそういうものだろう。変わってしまった後は、変わる前のことを思い出せない。アオサギやカワウやキンクロハジロのことを知らなかった私には戻れないのだ。



 しかしタグ詐欺を続行するのは如何なものか……。

 そこで詐欺タグを消そうかと思ったが、なんだか寂しくて消したくない。

 これは無理矢理にでも寄せるしかないか。でも話題もない。


 そんなことを日々ぼんやりと思いつつ、今日もタグ詐欺を続けている。そして幸か不幸か、タグ詐欺をしようがしまいが、このエッセイ集が世間に及ぼす影響はほぼない。





関連エッセイ


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