これも一種のマンデラ効果!? アルプスの少女ハイジのアニメで、クララの車椅子を壊したのは……

 以前、アニメ「アルプスの少女ハイジ」がテレビで放送されていたので見ていた。しかし終盤の展開を見ていて違和感が……。


 クララの車椅子をクララ自身がうっかり壊してしまうというシーンが出てきたのだが、「あれ? 車椅子を壊したのってペーターじゃなかったっけ?」と疑問に思ったのだ。



「アルプスの少女ハイジ」は有名なアニメなのでストーリーはなんとなく知っているが、私が昔アニメを見ていたかどうかはハッキリ覚えていない。

 ただ、絵本なら小学校で読んだことがある。その絵本ではペーターがクララの車椅子を壊していたように記憶している。



 アニメ版「アルプスの少女ハイジ」でも、ハイジがクララとばかり仲良くしていることに嫉妬したペーターが車椅子を崖から落とすイメージだった。

 しかしアニメを見ていると終盤は和やかというか穏やかなムードで、ペーターが荒ぶるようなシーンはなく、むしろペーターはクララに対し協力的だったのだ。


 ペーターが車椅子を壊すというのは私の思いこみだったのだろうか? それとも、ペーターが車椅子を壊すシーンに問題があったのでアニメが作り替えられたのだろうか。



 この疑問について調べてみたところ

「アニメは今までに一度も作り替えられたことがない」

「アニメ版では最初から、車椅子を壊したのはクララ自身だった」

「ペーターが車椅子を壊したのは、原作や原作寄りの絵本の方である」

 ……とのことだった。



 うーん、そうなんだろうか。



 このクララの車椅子問題、実際にアニメを見ていた世代の人でも意見が分かれるらしく、「車椅子を壊したのはペーター」と記憶している方が結構いらっしゃるようだ。

 ではなぜそんな勘違いが起こるのかというと、「原作や原作寄りの絵本を読んだ記憶をアニメで見たと混同しているから」らしい。


 なるほど、そもそも私はアニメを見たかどうか定かではないし、絵本は確実に読んでいるので、それで勘違いしていそうだ。



 しかし、アニメハイジ世代の多くの方が「原作や絵本を読んで混同した覚えはない。アニメでペーターが車椅子を壊す展開を見た」とネットなどで書いている。


アルプスの少女ハイジの再放送などを見て

「あれっ、自分が見たのと展開が違うぞ」と気になって

「皆さんの記憶ではどうでしたか?」と聞いている人もいるようだ。



 これは不思議な話である。


 アニメ版を見ていたならアニメの展開に見覚えがあるはずなので

「あれっ、これ知らない展開だぞ」とはならないだろう。

 原作や絵本関連の勘違いをしているなら、アニメを見たら

「ああ、アニメ版ではこうだったな。勘違いしていた」と思い出すはずだ。


 それが

「いや、アニメでペーターが車椅子を壊すシーンを確かに見たんだ」と思う方が多いということは……

 もしかしてこれは、マンデラ効果の一種ではないだろうか。



 マンデラ効果というのはオカルト好きの間で有名な言葉で、2013年に亡くなったマンデラさんという方について

「いや、1980年代に亡くなっていたはずだ。訃報を聞いた」と主張する方が多くいるらしいという問題のことだ。


 その他にも、多くの人が同じ思い込みや勘違いをしている事象がたくさんあり、「◯◯年に何が起こった」という出来事などに関して意見が二つに分かれることがあるらしい。

 これはオカルト肯定派に言わせれば「私たちはそれぞれ別の世界(パラレルワールド)を見てきたからだ」ということになるそうだ。



 私は今までマンデラ効果について実際に目撃したことがなかったのだが、さっきのハイジの話では私の母も

「何度もアニメの再放送を見たけど車椅子を壊したのはペーターだった」

「クララが壊した展開は初めて見た」と言っていたので、一緒に盛り上がった。

 また、今回色々調べてみて初めてマンデラ効果を実感し、感動した。



 ということは……。


 映画のレビューなどでたまに見かける、「映画に無かったセリフやシーンの話をしている、ちゃんと映画を見ていなさそうなコメント」とか、日常でしょっちゅうある「言った・言わない」の水掛け論とかも、本当に相手の方にとっては相手の方のおっしゃる通りなのかもしれない。

 さらにもしかすると、「相手が勘違いしているんだ」と思うこっちが勘違いしているのかもしれない。


 同じものを見ていても見えている色は人によって違うというし、現実や起こった出来事の感じ方も人それぞれということだ。



 自分の記憶や知識に自信がなくなりそうな、思考の迷宮に入れそうなこのマンデラ効果、身近な話題で実際に体験することができて嬉しかった。また今後も不思議な体験をしてみたいものだ。


 ……もちろん、辛いことや苦しいことは抜きで。

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