カメムシは賢い

  ふと部屋の隅に目をやると、平べったい体に小さな頭がついたハエトリグモくらいの大きさの虫を見つけた。一見なんの虫なのか分かりづらいがカメムシに見える。


 さっそく小さな容器を持って逃がそうとしたが、虫はゴキブリと見まごう速さで逃げ惑った。そしてやっとつかまえたと思うと、自分がつかまったことを分かっているのか、容器の隙間から身を乗り出し足をバタつかせ、するりと抜け出してしまった。



 結局小さな容器ではつかまえられなかったので、窓を開けて外へ出て行ってもらった。

 それなら最初からそうすれば良かったかもしれないけれど、まさかあんなに必死に逃げられるとは思わなかった。



 どんな生き物でも図鑑で写真を見たところで「どういう動きをするか」ということはよく分からない。出会ってみて初めて「意外とゆったりな動きだな」とか「こんな走り方をするのか」となる。



 しかし思い返してみると今までにもカメムシの行動に驚かされたことがあった。

 部屋に入ったクサギカメムシを逃がそうとして容器でつかまえると、触角がプルプル震えていたのだ。


 平常時のカメムシは立ち止まっているときは触角を上げたまま動かさず、歩く時は2本の触覚で地面をつつくようにして辺りの様子を調べている。私の解釈が間違っているかもしれないが。



 容器の中でクサギカメムシが私の手を見て後ずさりしたこともあった。また、容器を被せてつかまえようとしたとたん、クサギカメムシがすごい勢いで走って逃げようとし、床(畳)につまづいて転んでひっくり返ったこともあった。


 本当のところはどうか分からないが、カメムシには思考や感情があるように見える。逃がすときも、クサギカメムシは緊張したようにピーンと体を持ち上げていたりする。



 今回のカメムシの逃げ方も……。虫ってこんなに状況を理解していて、必死に逃げようとするんだなぁと思うとなんだか切なくなった。





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「ストレス自動製造機」

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「カメムシ差別」

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