第192話
「……いや、そうではない。ち、中宮と致すは辞めと致そう?……私が在位中は中宮職は置かぬ事と致そう?そう致そう……」
今上帝はヘソを曲げた碧雅に、四苦八苦である。
「……あれは寵愛する
金鱗は呆れ果てて、銀鱗に囁いた。
「……ゆえに私は、女狐相手にヤキモキと致しておったのでございます。お相手が瑞獣お妃様の御子様で、
銀鱗は呆れ顔の金鱗に、笑顔を向けて言った。
「女如きに国を傾きかねぬ、御性分にございます……」
「だが青龍が在る限り、それの憂いは無い……だが……」
「だが?」
「覇王となる懸念はある……」
「覇王にございますか?」
「覇王だ……国を広げ近隣の国々を呑み込んでいく……そして乱世を好む……ゆえに碧雅が今上帝に当てがわれた。鸞は愛を貪る一族だ。愛ゆえに神気を高め、愛ゆえに力を溜めいく……。ゆえに皇家に誕生せし、一途な天子には適切な相手だ。つまり一途な愛が鸞を強く最強とする。鳳凰から誕生した鸞は、青龍の力を抑える事ができる存在だ。つまり、青龍を抱きし天子に捧げるは、青龍の力を抑える為だ。なぜか?ただただ覇王とさせぬ為だ。それを抑える為だ。かつて朱は、弟帝と皇后の間に誕生した、青龍を抱ける御子の力を抑える為に存在し、その深い愛情により、有り得ぬと思っておった青龍の所替えを、抱けし摂政が存命の内に成し遂げた。だがあの青龍はまだまだ小さかった。今上帝から比べれば赤子の様な存在よ。ゆえに伯父となる朱でもよく、お妃が共にあらばそれで済んだ。だがこの青龍は桁が違う……ならば如何して抑える?いいか?鸞の愛の力で一番大きいのは、男女のそれだ。夫婦のそれだ。恋だの愛だのよ。その為に妃は碧雅を今上帝に当てがった……摂政の青龍以降の龍は、さほどに大きいものではなかったからな……朱もお妃も彼方でどうにかできたのであろうが、此度は余りに大き過ぎる」
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