相思相愛のふたり(終話)

第186話

 雛瑞獣の碧雅は念願の女御となり、清涼殿に近く、今上帝から最も寵愛を受ける女御が賜る風潮がある殿舎を賜り、藤壺の女御様と呼ばれる様になった。

 当然ながら今上帝の御心持ちが一番であるが、そこをお偉い大臣達のゴタゴタが無いのは、ある程度瑞獣のゴニョゴニョチョチョイが動いているからだ。

 ……とはいっても伊織の痛恨のミスで、今上帝に女体になれない雛を、寵妃とする、発言をさせてしまった。

 これは手痛いしくじりだ。

 今上帝には御兄弟は御いでにならず、次世代の天子を御決めになるには、御子様を皇太子として立っするしか無いのだが、その皇子を御寵愛する雛女御から頂く事が叶わないのでは、一途過ぎるこのお方であるから他の方法が考えられない。

 つまり雛女御以外の女御に、御産み頂くしかないわけだが、が安易にできるお方ではなくて、愛する女御あいてがいる状態で、そうではない女御あいてに、をして頂く事が、かなり難しいお方といっていい。

 長年愛し続けられた中宮に裏切られて、かなりやけっぱちな状態になった折には、貴族達の言葉など聞く耳も持たれず、低い身分の女官女房まで女御とされ、後宮が賑やかとなったし、お召しになられる事も多かったが、雛に御心が行かれてからは、全く女御達に御気持ちを向けては下さらない。


 ……はてさて難儀な事よ……


 自分が蒔いた種感があるから、余り強い事は言えない……とはいっても、伊織の立場上どうしてもお約束は頂きたい。


 ……雛が産めぬのであらば、女御に子を成すはやむなし……


 の御一言である。

 しかしどう切り出そうか……。

 そればかりを考えている。

 何せ思いが叶われて、ご誕生より初の相思相愛である。

 現在でいう処のラブラブ状態であるから、毎日の様にお召しになられていて、普通ならば御子様を頂けない状態ではなく、直ぐにも頂ける状態である。


 ……実にしくじった……


 後悔を繰り返す。

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