第166話
「陰陽師の命と引き換えに、今上帝そなたは誕生致した。だが此処でも取り違えるなよ、かの陰陽師はそなたの為に、命を賭けたのでは無い。あれは我が身を高く買い信頼してくれた、当時の今上帝……つまり現法皇の為にしたのだ。
「その陰陽師とは?」
「正二位の安倍の者よ……我が知己の朱によってあの一族は守られ、代々嫡子には魔物達から身を守る証しが刻印されておる」
「アヤツがそうなのか?ゆえにお母君様は、あれの元に行けと言われたのか……」
碧雅が納得顔を作った。
「朱が唯一信頼致した人間よ。そしてそれには、驚く程の能力が備わっており、かのお妃様の
「……それ程の者の子孫とは……」
碧雅はそんな者の子孫とは、思えない朱明を思った。
第一あのお母君様を満足させるとは、かの正二位とはかなりの者だ。
一頻り泣いた今上帝は、再び優しい眼差しの銀鱗の差し出す盃を手にした。
「
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