第136話

 今上帝はここ最近、女御を召されると、寝所で一連の行為を済まされ、直ぐに御帳台から御出ましとなられ、侍らせている女房に身支度をさせ、伊織を待たせている廂へ御姿を現される。

 そして何時も気怠気なご様子で、そのまま廂に腰を落とされる。


「……何も女御様を、直ぐにお帰しになられずとも……」


 この時は、必ず伊織は宿直とのいとなる。


はよく知っておるからな、後朝きぬぎぬの文など渡そうものなら……」


「……別に妬いたりは致しませぬ」


「……ではなかろう?」


 今上帝は伊織を睨むなり、御声を上げられた。


「あれが……が何を致すか……」


 今上帝は、顔容を赤らめて溜め息を吐かれる。


「かのお妃様は、一体何をに見せてご教育なされたのか、

 何をお考えでまでご教育なされたのか……」


 今上帝の顔容が、益々赤くなる。

 伊織は最近のお二人が、それはそれは良好な間柄である事は、もはや二人を見ていれば一目瞭然だが、恋する二人が如何様な状態であるかまでは、一般論的な思考でしか想像できないのだが、この国の一般的な恋人達は、まずは文の遣り取りから始まり、その後姫は自宅で恋人の通って来るのを待つ……恋人が三日通って結婚となる……のだが、何せ雛自体が姫ではない。もとい雌ではなくて、が今上帝の悩ましいところで、今上帝が望めば雌=姫になるらしいのだが、なんといっても……今上帝の思い込んでいる、なので、今上帝は手を出しかねていて、女となれとは言い難い

 それは岡目八目の伊織からしたら、ただ今上帝の思い込みだけで、確かに固い蕾かもしれないが、ちょっと御触りになられれば、一瞬にして開花する大輪の花である。

 その痩躯なる……箇所とて、雌と決まれば見事な女体となり得るものと思われる。

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