第135話
それは龍の種類が違うのか?
伊織はそういった事に、信憑性を持たない
……ところが最近、今上帝が夢中におなりの瑞獣雛だが、彼?彼女?と日々を共にする様になって初めて、我が国の稀有さを知り得た感じだ。
ヤツは一瞬にして移動をするし、宮中に自分の存在を作ってしまった。宮中人は雛を昔から今上帝に仕えし者と認識し、アレの気質なのか呆気にとられる程に、舎人や女房から可愛いがれている。
つまり今までは、草子や想像のものと気にも留めなかった、古の宮中における妖魔や妖怪などによる、美女が天下人を虜として、天下を意のままにしようとしたとかいう、言い伝えもあながち嘘ではなかった事だと思う様になってきた。
瑞獣お妃様の様に、平安治世を護る為に、天子をお守り下さるものもいれば、その魅力で天子を籠絡して、己の天下としようとしたものも過去にはいたという事だ。
あながち陰陽師とか、神受けの巫女とかを、馬鹿にしてはいけないという事を、知り始めた伊織である。
その日ペエペエ陰陽師朱明は、殿上人である伊織から、それは破格なる待遇を受け、酒肴なども頂いてほろ酔い気分で、かなり遅くに伊織邸を後とした。
「朱明様、大事はございませぬか?」
めっきり酒に弱い主人であるから、孤銀は共に車に揺られながら姿を現して、心配そうに赤ら顔の朱明を見つめて聞いた。
「大事ない……緊張していたからな。瑞獣様とか精王様とかと、飲む程には酔ってはおらぬ」
「あの方々様は特別にございます」
「……だよなぁ?」
朱明は一番信頼している孤銀だからこそ、満面の笑顔を浮かべた。
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