第127話
「精王とは魚の精の王でございまして、竜宮城の
陰陽師の神懸かり的霊的な話しを、聞き飽きた感のある伊織は黙って聞き流している。
精王とはあの竜宮の酒で月見……ってヤツだ。
「実はその池と宮中の池は、池底で繋がっておりまして……それもお護りするが為の物でございますが……ゆえに精王の臣下達は宮中の事を、お仕え致す私よりもよく知っておりますし、池底の神殿はさながら宮中の様だとか……模しているそうで流行りの物から衣まで、何から何まで同じだそうで……」
ははは……と、朱明は気の無い伊織に笑顔を見せる。
「つまりは、お喋りな女房達も同じで……。その精王が申しますには、中宮様の御子様が万が一主上様の御胤でない場合……」
すると一瞬にして、伊織の表情が変化した。
「御胤でない場合は、如何となるのだ?」
それは鋭い眼光で問い詰める。
「権力を欲する者が背後におれば、御子様は青龍に喰われるそうにございます」
「……青龍?」
「主上様が御抱きになられておられる、神獣でございます」
「う、噂には聞き及んでおるが……」
伊織が戸惑いを見せて口籠る。
「私も金鱗に教えて貰い、我が家の文献などを調べてみたのですが……かつて摂政が抱いており、権力の在り処が危ぶまれた時がございます……」
伊織は顔色を変えて、朱明を凝視した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます