第79話
「お前の
金鱗は凝視して、視線を逸らせない碧雅に言う。
「アレは権力を手放せなくなったのよ。当初は真剣に妻の供養に明け暮れたが、時が経ち気持ちが落ち着けば、周りが見えて来る。気がつけば、信頼し出家致した関白が死に、その後に置いた息子を摂政が陥れ、その家系を凋落させた……ゆえに法皇が今上帝の後見を致すは、当然の成り行きであった。摂政家には、法皇が任せらる程の人物が、いなかったのだからな。つまり法皇に権力が集中したわけだ。だがここに来て実権は、大人となった今上帝の物と致さねばならない。そうした時に、その思いをはっきりと知ったのだ。早くに手離し過ぎた、権力への未練をな……」
「ゆえに中宮を?」
「いや……それは違う。心底思えばこそ、一旦は今上帝に譲ったのだろう……どの道法皇の方が早く逝くからな。それができなかったは、中宮の方だろう……まだ今上帝は、今ほど逞しくはなかったからかな」
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