第66話
何だかんだと言っても、この
それはこの大神すら存在する、八百万の神々が座し、天孫に国を司らせているという稀有なる国だからだろうか?
宮中には、その天孫の子孫の天子が居住する後宮、内裏なる物が存在するが、大国の後宮の様に男子禁制の形を作ってはおらず、その為の宦官……男の機能を剥奪された者などは存在せず、男官人や女官人が普通に対等の立場で働いている。
さすがに、内裏の今上帝のお側に仕える后妃様方は、后妃様方の里からお連れの女房達がお世話をするのが通常で、女官がお世話をして、男官人がお側に寄る事などあり得ないし、御姿を拝見する事も許されない。
さてさて今上帝をお世話する男官人もおれば、女官人もいるわけで、それはその内容や場所によって分けられてはいる。つまり時と場合によっては女官がお世話をし、時によっては男官人がお世話をする……考えれば当然の事だが、しかしこの意味ありげな表情は、そういう事を一切切り離した、それはそれは度が過ぎた悪戯を考えている様に、伊織には思えてならないのだ。
……それは、雛に対して……という事だろう……。
「雛は私の側に仕えたいのだ。だから仕えさせてやろうではないか……」
笑ってる笑ってる……。
雛に会うまでは、それはそれは物憂げに、物見から外など眺めておいでてあったのに、何たるお変わり様であろう……。
伊織の心中の雑言だ。
第一自分の下に置け……との命に肝を潰した。
出自を等々と述べていた様に、それはそれは尊い瑞獣かもしれないが、それで今現在どうせよというのか?宮中でそれもこの国の、現在の天子であられる今上帝の側に仕えさせろ、とは……。一応宮中には宮中の、掟やしきたりやそれは面倒くさい手続き云々の諸々があるのだ。
チョチョイチョチョイとは、いかないのだ!
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