第25話
……さてそんな事、可能だろうか?……
道教の神学教理、道術も学んでいるし、陰陽道の
因みに朱明は、儒教仏教の文献も好きで読んでいる。
つまり実務を積むより、勉強をしている方があっているのかもしれない。
父が存命ならば甘えてもいられただろうが、頼りの父が亡くなってしまったから、未熟な朱明が一家を背負っていかねばならない事となった。
……失せ物を探す術も、なくはないが……。
物なのか者なのかものなのか……も解らずに、果たして探し当てられるだろうか?
またまた、こんなめんどくさい案件を朱明に押し付けるのは、かの正二位の祖先の存在にやっかみを持っているからで、陰陽頭だった父が亡くなっても、その父の威光と祖先の威光だけで、当たり前の様に陰陽師となり特権を持つ朱明を、快く思っていないからなのだ。
父の後見又は母の実家の力によって、子の地位が決まるこの時代、父が亡くなった未だ若い朱明は、全力で支えてくれる者がいないし、母の実家もさほど力のある家では無い。
それでも、あの正二位のお方の直系の家系の嫡子なので、一族が後見となって朱明を陰陽師にさせてくれた。何せ陰陽寮には幅が効く家系なのだ。
そんな当たり前の様に引き継ぐ事を許された者を、快く思わない者達が存在する。
陰陽頭様は、父の部下で親しい方だったので、ここでも朱明は特別に目をかけられている。
それに反感を持っているのが、陰陽助様なのだ。
「とにかく
「は……」
朱明は頭を垂れて、陰陽助様が陰陽寮を退出するのを見送った。
「疾くと致せと言われても……」
はぁ……とため息を吐いた。
……失せ物探しの様には、容易く行く事は無いだろう……
特にいろいろな経験が少ない、朱明にとっては……。
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